研究課題/領域番号 |
23K03506
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松元 高峰 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 非常勤研究員 (20374209)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 全層雪崩 / グライド / 衛星画像 / 斜面条件 / 危険度評価 / 危険性評価 |
研究開始時の研究の概要 |
傾斜や植生などの斜面条件に基づいて雪崩発生の危険性が高い斜面領域を抽出する手法には、危険性を過大評価してしまうことが多いという問題点があった。本研究は、対象を全層雪崩に限定した上で、全国で撮影された融雪期の衛星画像から「積雪層全体の緩慢な下方への動き(グライド)は発生するものの雪崩の発生には至らない斜面領域」と「グライドが進行して雪崩の発生に至る斜面領域」とを多数抽出し、その両者を分ける斜面条件を、各領域の地形計測データの統計的な分析と、実際の斜面でのグライド速度や積雪表面形態の観測とによって明らかにする。さらに、その結果に基づいて全層雪崩発生の潜在的危険性を評価する実用的な手法を確立する。
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研究実績の概要 |
2023年度は融雪期に撮影された日本各地の衛星画像から、本研究の基礎データとなる全層雪崩および積雪グライドの発生域を抽出する作業を重点的に進めるとともに、予備的な解析も実施した。 全層雪崩の発生域については、Google Earth上に公開されている東北地方と新潟県の衛星画像、また新潟県魚沼市・糸魚川市の山地については新たに購入した別の年の衛星画像を用いてGISのポリゴンデータとして抽出する作業を進め、現時点で1000箇所近くのデータを取得した。各衛星画像範囲内の積雪グライドのみが発生している領域についても、併せて抽出作業を進めている。 上記の作業で抽出した全層雪崩発生域のうちの約700箇所と、その周囲にあって積雪グライドも発生していない斜面領域との斜面傾斜・方位・植生タイプなどを用いて、数量化Ⅱ類分析を行なったところ、年最深積雪の平年値が1m以上の地域であれば、斜面傾斜が30~50°の範囲にあり、植生タイプが低灌木、草本、裸地に当たる領域において、全層雪崩の潜在的発生危険度が大きくなることが明らかとなった。ただし、このような既存の分析手法では、「積雪グライドのみ発生して雪崩には至らない領域」も同様に「雪崩発生危険度が高い」と評価されてしまうことも確認された。 なお、当初の研究計画では、2023年度からUAV、インターバルカメラ、グライドメータなどを用いた雪崩・グライド発生域データの収集、グライド速度・積雪表面形態の現地比較観測も進める予定にしていたが、2023/24年冬季は事前に少雪暖冬が予想され、実際に著しい少雪となったことから、例年であれば全層雪崩が発生する斜面1箇所でのグライド速度計測以外の項目について、それらの実施を延期することとした(結局、グライドメータを設置した斜面でも雪崩は発生しなかった)。これらは2024年度と2025年度とに実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
衛星画像を用いた全層雪崩・積雪グライド発生域の抽出作業については、おおむね予定のとおりに進んでいる。まずは日本各地の広い範囲にわたってデータを収集することを優先するため、新たに衛星画像を購入して、Google Earth上に公開されているのとは別の年の画像を分析する作業については、主に2024年度に回すことにした。 一方、2023年度から実施することを予定していた、UAV、インターバルカメラ、グライドメータなどを用いた雪崩・グライド発生域データの収集、グライド速度・積雪表面形態の現地比較観測については、2023/24年冬季は事前に少雪暖冬が予想され、新潟県では実際に著しい少雪となってしまったことから、そのほとんどを次年度以降に延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
衛星画像を用いた全層雪崩・積雪グライド発生域の抽出作業、およびその周辺(とくに下流側斜面)の斜面諸元データの取得作業については、当初の計画どおり、2024年度内にインベントリ化の完成を目指すとともに、年度後半からは「グライドのみの発生領域」と「全層雪崩の発生領域」とを分ける斜面条件の統計解析を開始する予定である。 UAV、インターバルカメラ、グライドメータなどを用いた雪崩・グライド発生域データの収集、グライド速度・積雪表面形態の現地比較観測については、2024年度と2025年度とに3箇所で実施し、衛星画像から得たデータと合わせてその後の分析に使用するものとする。ただし、2023/24年冬季のような著しい少雪がふたたび発生するなどした場合は、必要なデータを取得するために研究期間を延長することも検討する。
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