研究課題/領域番号 |
23K03517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中澤 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ付 (50357620)
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研究分担者 |
長 郁夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (10328560)
小松原 純子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究部門付 (40443189)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 沖積低地 / 第四紀 / 関東平野 / 常時微動観測 / 地盤震動特性 / S波速度構造 / 地質層序 / 都市地質学 |
研究開始時の研究の概要 |
台地を刻む谷の谷底低地には軟らかい泥層や腐植層などが分布することが多く,地震の際に揺れを大きく増幅させたり,不同沈下を引き起こしやすい.一般に基盤と被覆層の2層地盤モデルを想定する場合,2層間の物性コントラストが大きいほど地震動は大きく増幅される.つまり谷底低地では,谷底低地の堆積物が軟弱な場合はもちろんのこと,基盤である台地の地層が固いほど地震動は著しく増幅されることになる.本研究では首都圏平野部を例に,台地を刻む谷の谷底低地を,基盤である台地の地質構成により類型化し,常時微動観測を行うことで,谷底低地の地盤震動特性を明らかにし,地震災害リスク評価の精度を向上させることを目標とする.
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研究実績の概要 |
谷底低地の地質および地盤震動特性が上流から下流にむけてどのように変化するか知るために,東京都区部の武蔵野台地を刻む神田川(善福寺川)および古川(渋谷川)沿いにおいて常時微動観測を実施した.下流部の谷底低地では軟弱な沖積層が厚く,平均S波速度は低い値を示した.またH/V スペクトルのピークが低周波数帯域(1.5~1.6 Hz 付近)にみられた地域は,1923年関東地震で被害が著しかった地域にほぼ一致した.一方で中・上流部では軟弱な沖積層は分布しないかあるいは極めて薄いため,谷底低地よりも,むしろその周辺の関東ローム層や東京層の軟らかい泥層が分布する台地のほうが軟らかい地盤特性を示した.つまり下流部と中・上流部で,台地と低地の地盤特性の相対的関係は逆転することが明らかになった.この結果を論文として公表した. また東京低地の沖積層の下部(七号地層)の層相変化により低地の地盤震動特性がどのように変化するかを知るために,東京低地を横断する複数の測線上で常時微動観測を実施した.その結果,沖積層下部が砂主体でS波速度が比較的高い場合,沖積層上部(有楽町層)の軟弱な泥層との物性のコントラストが大きくなるため,H/Vスペクトルの1 Hz付近のピークが明瞭になることが明らかになった.一方で沖積層下部が砂泥互層の場合,砂主体の場合に比べ平均S波速度が低くなり,沖積層上部との物性コントラストが小さくなるため,H/Vスペクトルの1Hz付近のピークが台状のやや低い形状を示した.つまり沖積層下部が砂主体のほうが,揺れがより大きく増幅される可能性が示された.この結果は次年度以降にとりまとめる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の調査データのほか前年度以前のデータも併せて検討を進めたことでおおむね順調に研究をすすめることができた.
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今後の研究の推進方策 |
谷底低地の基盤の地質を考慮して調査地域を選定し,常時微動観測を実施することで,基盤の地質の違いによる地盤震動特性の変化を検討する.特に次年度はS波速度の大きい上総層群を基盤とし厚い軟弱な沖積層が分布する谷底低地を対象に検討を進めたい.また東京低地の沖積層下部の層相変化に伴う地盤震動特性の変化についても追加調査を実施したうえで成果のとりまとめを行いたい.検討結果については随時口頭発表および論文発表を行う.
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