研究課題/領域番号 |
23K03521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中原 恒 東北大学, 理学研究科, 准教授 (20302078)
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研究分担者 |
江本 賢太郎 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80707597)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | DAS / 歪地震動 / エネルギー分配 / サイト増幅係数 / 浅部地下構造 / 地震ハザード評価 |
研究開始時の研究の概要 |
DAS(分布型音響計測)と呼ばれる技術が地震学に近年導入された.DAS観測は,従来の地震観測と比べて多点稠密であることが大きな利点である.一方,計測される一方向の歪(速度)はなじみの少ない観測量であり,その基本的な性質に関する理解は不十分である.そこで,本研究では歪地震動の観測データの解析と,地震波動理論やスーパーコンピュータを用いた数値計算により,各種の歪地震動の基本的な性質を理解する.さらに,これまで地震動の並進成分に対して利用されてきた地震波干渉法や地震波合成法を,各種の歪地震動に適切に拡張し,浅部地下構造推定のための新手法の開発を行う.
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研究実績の概要 |
地震波干渉法の成立に不可欠な条件であるエネルギー等分配状態において,歪テンソルの各成分へのエネルギー分配について理論的に考察した.まず簡単な2次元無限均質媒質から始めた.その結果,DASで測定されるある方向の軸歪には,P波よりもS波が多く含まれ,そのエネルギーの比は1/3(Vp/Vs)^3(Vp,VsはそれぞれP波速度,S波速度)であることが分かった.一方,せん断歪ではS波の寄与が大きくなる.また,軸歪はせん断歪よりも約1.2倍エネルギーが大きいことが分かった.次に3次元無限均質媒質について考察した.軸歪にはP波よりもS波が多く含まれ,そのエネルギーの比は,2/3(Vp/Vs)^5であることが分かった.せん断歪ではS波の寄与が大きくなる.また,軸歪はせん断歪よりも約1.4倍エネルギーが大きいことが分かった.2次元,3次元の媒質の双方に対して,有限差分法に基づきランダム媒質中の地震歪場を数値的に計算し,理論的な結果の検証も行った. 歪地震動を用いたサイト増幅係数の研究としては,京都の国道9号線におけるDAS観測データを精査し,近地地震のS波エネルギーの相対振幅をサイト増幅係数の指標として推定した.その結果,山地ではサイト増幅係数が小さく,盆地ではサイト増幅係数が大きいこと,断層を挟んでサイト増幅係数が急変することなどが分かり,サイト増幅係数は地形・地質構造と対応することを確認した.また熊本の国道3号線におけるDAS観測データを用いて,地震動予測にとって重要な浅部の地震波速度構造を推定した. 歪地震動のインコヒーレント成分を理解するため,予定より少し先行して,短波長不均質構造と歪波形のばらつきについて検討を始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を遂行する上で大きな問題が生じなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画に従って進捗するように研究活動を粛々と遂行する.
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