研究課題/領域番号 |
23K03531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
奥平 敬元 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20295679)
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研究分担者 |
福田 惇一 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10726764)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 地殻ダイナミクス / 上部地殻のレオロジー / 石英すべり系 / 転位クリープ / 内陸地震 / 石英 / 優先すべり系 / 構成則 |
研究開始時の研究の概要 |
内陸地震の発生領域を含む上部地殻の変形は,その主要構成鉱物である石英の変形特性に大きく左右される.石英の変形特性は,結晶内塑性における優先すべり系が異なる場合,大きく変化する.石英のすべり系は,上部地殻においては,底面a軸すべりや柱面a軸すべりが卓越するとされていたが,近年この説に疑義が生じている.このような状況において,上部地殻において卓越する石英のすべり系の確定が急務となっている.本研究では,花崗斑岩中に発達する小規模延性剪断帯の石英単結晶(斑晶)の変形微細組織解析から,上部地殻における石英の優先すべり系を確定し,内陸地震の発生過程と密接に関係する上部地殻の変形を理解することを目的とする.
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研究実績の概要 |
内陸地震の発生領域を含む上部地殻のレオロジーは,その主要構成鉱物である石英のレオロジーによって近似される.石英のレオロジーを議論する場合,実験的・地質学的に求められた流動則を用いるが,近年の実験的研究では,結晶内塑性における優先すべり系が異なる場合,流動則のパラメータが大きく異なることが指摘されている.石英のすべり系は,上部地殻においては,底面a軸すべりや柱面a軸すべりが卓越するとされていたが,近年の詳細な変形組織解析から,底面a軸すべりは優先すべり系として活動しない可能性が指摘された.このような状況において,上部地殻において実際に卓越する石英のすべり系の確定が喫緊の課題となっている.本研究では,花崗斑岩中に発達する小規模延性剪断帯の石英単結晶(斑晶)の変形微細組織解析から,上部地殻における石英の優先すべり系を確定し,内陸地震の発生過程と密接に関係する上部地殻のレオロジーの理解に寄与することを目的とする. 本年度は,兵庫県淡路島に産する塑性変形した花崗斑岩中の石英のEBSDおよび光学顕微鏡による組織解析を行った.その結果,石英斑晶の結晶内塑性におけるすべり系として柱面a軸,底面a軸,柱面c軸,錐面a軸すべりが認められ,石英斑晶の形態から推定される歪み量との比較から,柱面a軸すべりと底面a軸すべりが優先すべり系であることが明らかとなった.また,安定な鉱物組み合わせとEPMAによる予察的なTi含有量の測定結果から,変形時の温度条件を400-500 ℃と見積もることが出来た.この温度条件は地殻中部に相当し,地殻中部における石英の優先すべり系が柱面a軸すべりと底面a軸すべりであることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,花崗斑岩中の石英の組織解析を主に行い,その成果を国際学術雑誌に投稿し受理された.これは想定以上の成果であり,研究は順調に進捗しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,花崗斑岩中の石英の組織解析を継続して行うことと,各種顕微化学分析(主にEPMAによる微量組成分析やFT-IRによる含水量分析)を行うことにより,結晶内塑性と結晶内元素移動との関連を明らかにする予定である.
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