研究課題/領域番号 |
23K03534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田口 知樹 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (60791704)
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研究分担者 |
伊神 洋平 京都大学, 理学研究科, 助教 (30816020)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ラマン分光法 / 石英 / 結晶欠陥 / 結晶歪み / 残留応力 / 転位 |
研究開始時の研究の概要 |
一般に、鉱物は完全な結晶ではなく、秩序構造が乱れた領域(結晶欠陥)を有する。本研究では汎用性の高いラマン分光法を用いて、石英の結晶欠陥(特に転位)を非破壊かつ簡便に特定する手法の開発を目的とする。石英内に人工的に発現させた転位について、ラマン分析と透過電子顕微鏡を併用して結晶欠陥挙動とラマンスペクトルの関係性を精査し、様々な環境で形成された転位の網羅的解析法を構築する。
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研究実績の概要 |
一般に、鉱物は完全な結晶ではなく結晶欠陥を有する。この欠陥組織の解析には電子顕微鏡が用いられることが多いが、熟練の研究者であっても観察が困難な場合もあり、より簡便な解析手法が求められてきた。本研究では顕微ラマン分光法に着目し、石英の欠陥組織等を非破壊かつ簡便に特定できる手法の開発を進めている。特にマイクロビッカース微小硬度計で人工的に発現させた欠陥組織について、ラマン分析と透過電子顕微鏡を併用して欠陥挙動とラマンスペクトルの関係性を解き明かすことを目指している。 研究初年度は微小硬度計を新規購入し、合成石英の表面に異なる荷重条件の微小圧痕を作成した。圧痕のラマンマッピングを実施し、そのスペクトル形状とピーク位置の変化を精査した。各ラマンスペクトルのカーブフィッティングを行った結果、高荷重条件の微小圧痕周囲において顕著な高残留応力の存在が確認された。次年度、高残留応力を示した微小圧痕を対象に、研究分担者の所属機関において透過電子顕微鏡観察を行う計画である。透過電子顕微鏡の観察・解析結果に基づき、追加のラマン分析も並行実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、微小硬度計を用いて合成石英に様々な荷重条件の微小圧痕を作成することに成功した。また、既存の顕微ラマン分光器の分析精度の向上を目的に、空気ばね式精密除振台を別予算(科研費:基盤研究(C)における独立基盤形成支援)で導入した。本研究課題では石英ラマンスペクトルの僅かなピーク位置変化に着目しているため、除振台の導入により装置固有および歩行振動に伴うノイズが軽減されたことは重要と考えられる。分析環境の整備により、残留応力分布とラマンスペクトル形状の変化との関連性が明らかになりつつあるため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、微小硬度計で欠陥組織を発現させた石英について、ラマンスペクトルのピーク位置変動を検証する。高残留応力を示す石英については局所領域の高解像度マッピングも行う。さらに、研究分担者の所属機関において、集束イオンビーム装置(FIB)を用いて圧痕周囲の透過電子顕微鏡観察用薄膜を複数作成し、高残留応力領域のナノスケール組織を系統的に調査する予定である。
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