研究課題/領域番号 |
23K03545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
川崎 一雄 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (60624806)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古地磁気 / 岩石磁気 / 温泉水 / 褐鉄鉱 / 火山活動 |
研究開始時の研究の概要 |
常時観測網が整備される以前の連続的な火山活動を明らかにするため,本研究は,火山活動と密接な関係にある温泉水に着目する.活火山地域の温泉水から恒常的に沈殿する褐鉄鉱を対象に,古地磁気・岩石磁気学研究を行い,連続的な古地磁気年代と磁性粒子の種類・量・粒径の変化を求める.得られる褐鉄鉱の変遷記録から,温泉水の活動期間と環境変化を明らかにし,活火山の連続的な熱史の解明を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究は,熱水/温泉水が火山活動に緊密に関係することに着目し,恒常的に温泉水から沈殿する褐鉄鉱を中心に,古地磁気・岩石磁気学の手法から,それらの堆積環境や堆積年代を推定し,火山静穏期を含む火山活動の推定を試みる.当該年度は,初年度として,島根県三瓶山麓の三瓶温泉域を対象に,野外調査を実施した.その結果,褐鉄鉱の沈殿物は認められたが,十分な層厚は呈しておらず,更なる調査が必要である.また,北海道函館市の赤沼周辺から採取した褐鉄鉱沈殿物を対象に古地磁気解析を行った.試料は7 ccプラスチックキューブを用いて高さ約90 cmの露頭面から連続的に採取したものである.自然残留磁化を測定後,代表的な試料を対象に段階交流消磁及び段階熱消磁をパターンを変えて行った.その結果,段階熱消磁と段階交流消磁を組み合わせて行うハイブリッド方式の消磁方法が最も有効であり,不安定な二次磁化を消磁後に安定な固有残留磁化成分が同定できた.また,熱磁気分析(Js-T)や低温磁気分析,段階等温残留磁化獲得実験の結果と古地磁気解析の結果を統合すると,試料内の主要な磁性鉱物はゲーサイトとマグヘマイトであり,これらの磁性鉱物が安定な固有残留磁化を保持することが示唆された.得られた固有残留磁化成分は深さ方向に変動する傾向が示唆されており,更なる試料の測定と解析が必要である. また,岩石磁気分析の手法から対象試料内の自然起源粒子と人為起源粒子の分離の可能性を検討した. 試料採取候補地である長野県諏訪鉄山の情報整理を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度として,島根県三瓶山麓の三瓶温泉域を対象に,野外調査を実施した.その結果,十分な層厚を持つ露頭の発見には至らなかったものの褐鉄鉱の沈殿物は認められた.温泉水が流れ込む池においても褐鉄鉱の沈殿が認められており,再調査を行う予定である.北海道函館市の赤沼では連続的に採取した試料を用いて,褐鉄鉱試料に対して有効な古地磁気解析法を検討した.段階交流消磁と段階熱消磁を組み合わせることで有効な固有残留磁化成分の同定手法を確立できた.また,代表的な試料を対象に主要な岩石磁気分析はほぼ完了している.以上より,初年度の研究進捗状況として,おおむね順調に進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に測定・解析を行った赤沼の褐鉄鉱試料に対し,古地磁気測定を行い,すべての試料で安定な磁化成分の同定を試みる.また,新たな地点で同様な褐鉄鉱沈殿物を対象とした試料採取・磁気分析を実施し,赤沼から得られた結果と対比・検討を行うことで,温泉水の活動期間と環境変化の解明を目指す.学会等において研究の途中成果を紹介し,得られた結果について議論を深めていく予定である.
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