研究課題/領域番号 |
23K03546
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉田 孝紀 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (00303446)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モラッセ / インダス層群 / 中新世 / ヒマラヤ / Himalaya / Tibet / Monsoon / Paleosol / Indus Molasses |
研究開始時の研究の概要 |
ヒマラヤ山脈とチベット高原の隆起は,新生代後半における地球表層流体圏の環境を大きく変え,地球全体の寒冷化や南アジアモンスーンの発達を招いた.しかし,南アジアモンスーンに最も大きな影響を与えているチベット高原南部におけるテクトニクスと環境変化の関連については,裏付けや検証が不十分である.そこでこの研究では,チベット高原南縁に分布するインダスモラッセにおいて,古土壌から古気候の長期的変化を解読し,この地域の標高変化史・隆起史を解明する.更に,インド洋のインダスファンから読み取った古風化強度の変動と比較し,ヒマラヤ山脈・チベット高原の隆起がモンスーン形成に寄与した役割を解明する.
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研究実績の概要 |
北西インド・カシミール地方に発達するIndus層群は,片麻岩や花崗岩礫を大量に含み,造山期後期の「モラッセ堆積物」として古くから着目されてきた. 2023年9月上旬において,カシミール地方のラダック南部において調査を行い,Indus層群の古土壌について検討を行った.この地域のIndus層群は下部よりNurla層,Choksti Conglomerate層,Hemis Conglomerate層,Nimu層からなる.Nimu層は中新統とされているが,そのほかの地層については明瞭な化石を書き,新第三紀・古第三紀のいずれに属するのか判然としない. Upshi村西方ではIndus層群の上部層であるChoksti Conglomerate層,Hemis Conglomerate層,Nimu層が観察される.Nimu層は網状河川堆積物とその周辺の氾濫源堆積物からなり,古土壌層が発達する.泥質岩は赤色を呈し,炭酸塩ノジュールを豊富に含む.また長さ1mを超える植物根や長さ30cm程度の生痕も頻繁に認められる.砂岩層は赤色を呈するものが多く,古土壌層が発達する.しかしグライ化のため,緑灰色や灰色をしめすものが多い.一部に黒色を呈する泥質岩を挟む.Choksti Conglomerate層,Hemis Conglomerat層では砂岩を挟むことがあるものの,泥質岩は希である.緑色を呈することからグライ化を受けていると考えられるが古土壌層を見つけることはできなかった. 室内分析においてはNimu層の古土壌層はFe, Al成分に富んだアルティソル(Ultisols)が多く,初生的にはやや乾燥した季節性の強い環境で堆積したものと考えられる.グライ化を被っていることから,季節的な降雨量は大きかったと考えられ,その形成環境について詳細に検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カシミール地域・ラダク南部において現地調査を行い,堆積学的・古土壌学的に重要な知見を得た.化学分析についてはやや進行が遅れているものの,概ね当初の計画通りに進行しているため,そのように判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年9月に再度,北西インド・ラダク地域(Zanskar川地域)において現地調査を行う予定である.
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