研究課題/領域番号 |
23K03555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
志藤 あずさ 岡山理科大学, 生物地球学部, 講師 (90376541)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | リソスフェア / オントンジャワ海台 / Po/So波 / 海洋リソスフェア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではPo/So波という海洋リソスフェアを選択的に伝播する地震波を解析し、オントンジャワ海台周辺域のリソスフェアの内部構造を推定する。Po/So波は、海洋リソスフェア内部にある不均質構造により地震波が多重反射しながら伝播し生成されるが、そのエンベロープ形状は不均質構造の空間スケールにより大きく変化する。オントンジャワ海台では、かつての大規模火山活動時にメルトの上昇経路としてダイク状構造が形成されるなど、既存のリソスフェアとは内部構造が大きく異なっていることが予想される。本研究では、このような内部構造の改変を検出することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、短周期地震波の解析によってオントンジャワ海台周辺の「海洋リソスフェアの内部構造の改変」を検証し、大規模火活動のメカニズムを明らかにすることである。上記目的を達成するため、Po/So波という海洋リソスフェア内を選択的に伝播する地震波を使い、通常の海洋リソスフェアとオントンジャワ海台周辺のリソスフェアの構造の違いを明らかにする。 2023年度は(1)オントンジャワ海台周辺を伝播するPo/So波の波形データの収集および一次処理、(2)Po/So波の観測波形のエンベロープ(包絡線)の生成、(3)Po/So波の伝播速度および振幅の距離減衰率の測定といった解析作業を行なった。 その結果以下の事項を明らかにした。(1)オントンジャワ海台周辺を伝播するPo/So波は通常の海洋リソスフェアを伝播するそれと比較して、とくにSo波の距離減衰率が大きい。(2)オントンジャワ海台周辺を伝播するPo/So波は通常の海洋リソスフェアを伝播するそれと比較して、とくにPo/So波の伝播速度が遅い。また、その一部は日本地球惑星科学連合2023年大会にて「Dyke swarms in the oceanic lithosphere beneath the Ontong Java Plateau as inferred from Po/So waves」のタイトルで口頭発表した。 また、波形データの増強を図るため、2024年3月にミクロネシア連邦コスラエの海洋研究開発機構所有の広帯域地震観測点に海洋研究開発機構の研究者とともに赴き、データ回収および観測点保守作業を行なった。これにより、オントンジャワ海台北部を伝播するPo/So波の観測波形データが質および量ともに向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、現在までのところ概ね当初の予定どおり順調に進んでいる。なお、オントンジャワ海台北部を伝播するPo/So波の波形データが想定よりも少なかったため、当初の計画には入れていなかったデータ増強の作業を行なった。海洋研究開発機構が運用するミクロネシア連邦コスラエの広帯域地震観測点のデータを取得するため、2024年3月21日から27日にかけて海洋研究開発機構の研究者とともに同観測点に赴き、データ回収作業および観測点保守作業を行った。また、2024年度内にもう一回程度データ回収作業を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず2024年3月に取得した波形データについての解析作業をすすめる。 次に、有限差分法を用いた2次元地震波動場の数値シミュレーションを実施する。リソスフェアの背景地震波速度構造モデルを構築したのち、リソスフェア内に分布する小規模不均質構造を推定する。未知数とするパラメタは、不均質構造の水平方向の相関距離・鉛直方向の相関距離・不均質の強さであり、これら変化させながらシミュレーションを行って、計算波形のエンベロープと観測波形のエンベロープを比較し、観測を最もよく説明するリソスフェア内の不均質構造を推定する。なお水平方向の相関距離と鉛直方向の相関距離を変化させることで、ラミナ状構造やダイク状構造、またそれらが共存する構造を再現し、観測を再現する最適なパターンについて検討する。 また、オントンジャワ海台北部を伝播するPo/So波の波形データ増強のため、2024年度内にもう一回程度がデータ回収作業を行う予定である。
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