研究課題/領域番号 |
23K03562
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
富谷 進 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特定助教 (90847419)
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研究分担者 |
宮田 和周 福井県立大学, 恐竜学研究所, 客員研究員 (30719480)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 食肉目 / 系統進化 / 形態進化 / 古第三紀 / 進化 / 系統分類 / 化石 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本・アメリカ・中国・フランスの研究者から成る共同研究チームで化石標本を詳細に比較観察し、形態情報を最新の手法を用いて分析することで、今日生態的に極めて多様で私たちヒトに最も身近な哺乳類分類群の一つである食肉目(イヌやネコのなかま)の起源と初期進化の過程をより明らかにすることを目指している。その結果、哺乳類における進化のプロセス(特に系統の多様化の要因など)の理解がさらに深まることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題の初年度となる2023年度には、国内外の分担者・共同研究者(大学院生を含む)あわせて4名で古生物学的および地質学的調査を実施した。 アメリカ合衆国ではカリフォルニア大学古生物学博物館、イェール・ピーボディ博物館、アメリカ自然史博物館、フィールド自然史博物館において、古第三紀の食肉型類の化石標本を詳細に観察した。食肉型類の系統分類を見直すことで、その初期進化の過程を明確にすることを目指している。 加えて、日本およびアメリカの自然史博物館等研究機関においては、古第三紀から現在までの幅広い年代の、主に肉食性の哺乳類における犬歯の微細構造の観察を行った。体系的な調査を行うことで、犬歯形態の進化の傾向をひも解き、食肉型類を含む化石肉食哺乳類の断片的な犬歯標本の分類学的な再考を目指している。今年度の調査では、現生ネコ亜目および絶滅分類群ニムラブス科のデータ(顕微鏡画像など)を広く収集した。 また、日本国内で唯一古第三紀の食肉型類を産出している上甑島層群中甑層(鹿児島県川内市上甑島)の年代測定を進めた。同層下部の凝灰質砂岩のサンプルを採取し、年代測定の対象となる鉱物であるジルコンを抽出した。その後、東京大学理学系研究科附属地殻化学実験施設にて同試料のU-Pb年代測定を行った。現在その結果を検討中である。これにより、今後、中甑層産出の哺乳類相を取り巻いた古第三紀東アジアにおける生物地理史の理解が深まることが期待される。 本研究では、これまでにアメリカ、フランス、および中国の化石哺乳類の専門家と連携しており、国際共同研究体制の強化にもつながっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急激な円安により、当初の予算での海外調査が困難になっているが、在外共同研究者の協力のもと、形態データの収集は進展している。中甑層の地質学的な調査も大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度にはヨーロッパ、特にフランスの研究機関に収蔵されている古第三紀の食肉型類標本を観察し、今後の系統分類および形態解析の基盤となるデータの地理的・系統的範囲を拡大する。また、中国の共同研究者と連携して、同国産出のニムラブス科化石の形態情報を収集・整理する予定である。
中甑層産出の食肉型類標本については、記載分類に向け、福井県工業技術センターでCT撮像を行い、化石形態を詳細に観察する。
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