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千葉県市原市チバニアン露頭の化石花粉に基づいたMIS19間氷期の古気温定量復元

研究課題

研究課題/領域番号 23K03567
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17050:地球生命科学関連
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

奥田 昌明  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (10311383)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード千葉セクション / チバニアン / 花粉化石 / 古気温 / 市原市田淵 / イタリア / モンタルバーノ・イオニコ / ヴァレ・ディ・マンケ / 古気候 / 地球温暖化 / MIS19
研究開始時の研究の概要

約77万年前の地球に実在した過去の温暖期(MIS19間氷期)の古気温状態を調査する。
MIS19は現在の温暖期(完新世)と気候状態が似ているので、MIS19の古気温を高精度復元することで、現在から2万年後までの人為CO2がない状態における地球気温変動を予測できる。分析試料には2020年に決定したチバニアン露頭(千葉県市原市)の堆積物を使用する。分析手法には化石花粉に基づいたモダンアナログ法を使用する。

研究実績の概要

チバニアン申請の根拠となった市原市田淵・千葉セクションに対する化石花粉解析を行い、分析およびデータ採取を完了した。
分析試料はチバニアン申請リーダーである茨城大学・岡田教授らの協力のもと、産総研などに保存されている申請チーム共用の試料アーカイブを使用し、令和6年の春までに216点の分析を完了した。データ解像度については「250年/試料」がほぼ等間隔で達成されている。千葉セクションの化石花粉分析については、チバニアン審査のためにプレデータが㈲アルプス調査所の本郷氏らによって実施されたことがあるが、それは分析点数が99点に過ぎなかった上、試料間隔には著しい偏りが見られたため、本計画が提供する新しい花粉データは顕著に改善されている。
具体的な作業としては、化石花粉抽出に向けた堆積物試料の前処理を、千葉県立中央博物館の第1化学分析室で実施した。また、光学顕微鏡を用いた検鏡カウントは同地学研究科室で実施した後、得られた花粉データ(%)はモダンアナログ法により80万年から75万年前までの古気温データ(℃)に変換した。
得られた結果は、地磁気逆転を含んだ77万年前頃の温暖期(MIS19)のシグナルが予想していたよりも微弱で持続期間も短めであること、その後に続く氷期(MIS18)が均質な寒冷期ではなく、幾つかの小温暖期を含むことなどを示している。この小温暖期は化石花粉組成の中でもスギ科(Taxodiaceae)の多産によるものであるが、類例としては最終氷期にグリーンランドで知られるダンスガード・エシュガーイベントと類似していた。
なお、70万年前頃の氷期に同じく急激な気候変動であるハインリッヒ・イベントが認められることは既に報告があったので(Naafs et al. 2013など)、同博物館で令和5年夏に実施されたチバニアンに関する特別展の展示解説書の中で、同現象に係る解説記事を執筆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本計画の進捗状況は、おおむね予定どおりに進行している。予定より明確に遅れたと言えるのは、以下2点である。
(1)イタリア共和国の海外調査のうち、チバニアンの競合地であったヴァレ・ディ・マンケ(以下マンケ)の立入調査ができなかった。海外の化石産地の調査には現地管理者の許可が必要だが、マンケの管理者であるパドヴァ大学(イタリア北部ヴェネト州)のCapraro教授と連絡がつかなかったためである。
さらに、マンケの周辺には牧場地が点在していることが判明した。南欧の牧場には巨大な牧羊犬がいるのが常であり、案内人のいない状態で牧羊犬に近づくと命にかかわるので、令和5年度調査ではマンケの調査は行わず、代わりにチバニアンのもう一つの競合地であったモンタルバーノ・イオニコ(以下モンタルバーノ)の調査に切り替えた上で実施した。
モンタルバーノの管理者であるバーリ大学(イタリア南部プーリア州)のGallicchio教授らとは連絡をとることができ、現地の立入許可を得るとともに、調査開始時には現地案内を受けることができた。今回は調査できなかったヴァレ・ディ・マンケについては令和6年度に再度渡航し、計画の遂行を試みる。
(2)研究開始と同時に購入予定で計上していた備品のひとつ(遠心分離器)を、令和5年度には購入することができなかった。購入予定だった物品は佐久間社製の多本架遠心機 (RSL-IVD/SL-IVD)であったが、円安や物価高の影響により、当初見積から大幅に値上がりし(本体価格にスイングロータ等の付属品を加えれば80万円以上)、令和5年度の直接経費では賄うことができなかった。これについては、庶務課の科研費担当とも相談の上、令和6年1月時点で残額(62万円)を次年度に繰り越し、翌年度に支給される直接経費と併せて購入することとした。

今後の研究の推進方策

上記のとおり、令和6年度には、初年度に実施できなかったイタリア共和国ヴァレ・ディ・マンケについて、他に現地案内人を探す等の努力により、当初計画に記した調査を実施することを試みる。また、令和5年度に残額不足で購入できなかった多本架遠心機 RSL-IVD/SL-IVDを、前年からの繰越費と併せた令和6年度の直接経費で購入する。
学術研究の分野においては、データ採取のための分析作業は令和5年度のうちに完了しているので、得られた化石花粉(%)および定量変換後の古気温(℃)データをとりまとめ、国際学術誌に出版すべく、論文執筆に集中する。この作業は令和6年度中に掲載までが終了することを目指して作業する。このほか、チバニアンに関する一般書の出版を企画しており、こちらは出版社との兼ね合いがあるので令和7年度にずれ込むかもしれないが、なるべく早期の出版を目指して作業する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 令和5年度特別展「よみがえるチバニアン期の古生物」2023

    • 著者名/発表者名
      奥田昌明ほか(共著)
    • 総ページ数
      79
    • 出版者
      千葉県立中央博物館
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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