研究課題/領域番号 |
23K03569
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
福地 孝平 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (40707121)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 金属基複合材料 / 相変化材料 / 熱設計 / アルミニウム / 炭素繊維 / 陽極酸化処理 / 繊維配向 / 異方性 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代パワー半導体の実用化は,パワーエレクトロニクス機器の高性能化と軽量化に大きく貢献する.一方,次世代パワー半導体を高温での使用を前提としない部品と共に使用する場合には,軽量化の利点を損なわないという前提の上で,それらの部品の冷却を確実に行う冷却系が必須である.そこで本研究では,次世代パワーエレクトロニクス機器の軽量・局所冷却システムとして活用することのできる新しい複合材料の開発を目指す.すなわち,炭素繊維含有アルミニウム基複合材料の熱伝導異方性,アルミニウム陽極酸化処理層の断熱性,および,相変化材料の蓄熱特性の各機能が有効になるように組み合わせた熱特性自在設計材料を開発する.
|
研究実績の概要 |
本研究では、次世代パワーエレクトロニクス機器の軽量・局所冷却システムとして活用することのできる新しい複合材料の開発を目指す。すなわち、炭素繊維含有アルミニウム基複合材料の熱伝導異方性、アルミニウム陽極酸化処理層の断熱性、および、相変化材料の蓄熱特性に注目し、これらの機能が有効になるように組み合わせることで、その熱特性を自在に設計可能な材料を開発する。 本研究課題の初年度における実験計画では,繊維軸方向に高い熱伝導率を有する炭素繊維(CF)をアルミニウム(Al)へ含有させた複合材料を作製し、その際のCFの配向方向を制御する技術を確立することを目的とした。その結果、AlとCFの短繊維(SCF)の単純混合粉末に対して、圧延加工プロセスと焼鈍プロセスを繰り返し行うことにより、SCFの軸方向が圧延方向に優先的に配向した複合材料を作製することができた。そして、その複合材料は熱伝導率に異方性を有することも明らかにした。また、この複合材料の作製プロセスを模した、圧延加工プロセス有限要素解析(FEA)を実行し、母材であるAlの塑性変形が駆動力となり、SCFの配向性を向上させることを明らかにした。そして、SCFが一定方向に配向した複合材料の内部構造を模したモデルを作成して伝熱解析を実行した結果、複合材料の熱伝導率の異方性もSCFの配向性に起因することを明らかにした。 以上の成果の一部について、日本機械学会年次大会の口頭発表や日本鉄鋼協会支部若手研究者フォーラムの招待講演などで発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に対して、初年度の進捗はおおむね順調と言える。その理由として、CFを一定方向へ配向する作製プロセスを明らかにすることができ、そこで使用した圧延加工プロセスをFEAで再現することにより、母材の塑性変形が駆動力となり、CFの配向性を向上させることを示せたためである。一方で、任意方向へCFを配向させる手法についてはさらに検討する必要があり、次年度はこれを重点的に実施する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度研究により、複合材料中のCFの配向性の向上に複合材料自体への塑性変形の付与が影響していることを実験とFEAから明らかにできたため、CFの配向性をより向上させることのできる加工法について、FEAも用いて検討する。また、この複合材料に対する陽極酸化処理とPCM含侵技術についても主に2年度目に検討する。初年度に実施できた圧延加工プロセスFEAや伝熱解析を基礎として、本研究課題で開発する材料の有用性についても、FEAを用いて明らかにする予定である。
|