研究課題/領域番号 |
23K03572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
島村 佳伸 静岡大学, 工学部, 教授 (80272673)
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研究分担者 |
藤井 朋之 静岡大学, 工学部, 准教授 (30377840)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 炭素繊維強化プラスチック / 超高サイクル疲労 / 超音波疲労試験 / ひずみ速度 / 超音波疲労試験法 / 疲労強度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,実用で広く使われている擬似等方性積層板を主な対象として,実用環境によくみられる引張の平均応力が作用する場合について,超音波疲労試験と油圧サーボ式疲労試験の結果の比較検討を実施してひずみ速度の違いが疲労強度に及ぼす影響を検討し,さらにその影響が大きい場合は分子構造レベルでの損傷蓄積過程とミクロからメゾスケールの損傷発達過程に着目することで,その原因解明にも取り組む.
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研究実績の概要 |
本研究は,炭素繊維強化エポキシ積層板の加速疲労試験技術として期待されている超音波疲労試験法により得られる疲労特性におよぼすひずみ速度の影響を検討することを目的としている.そこで,実用で広く使われている擬似等方性積層板を対象に,疲労試験条件として実用環境によくみられる引張りの平均応力が作用する場合について,超音波疲労試験と油圧サーボ式疲労試験の結果の比較検討をおこなうこととしている.ここで,研究代表者が保有する超音波疲労試験機には平均応力作用機構がついていないため,試験装置の改造が必要となるが,超音波疲労試験は共振型の疲労試験であり,平均応力の作用は試験片に単に静的荷重を負荷すればいいというわけではない.動的荷重を作用させる部分の共振条件を満足したまま,その振動の節となる部分に静的荷重を作用させる必要がある.そのためには,試験片の下側に超音波振動子と同じ固有振動数を持つアタッチメントを取り付け,そのアタッチメントの振動の節部に静的荷重を作用させる必要がある.2023年度は,そのアタッチメントの設計と装置への組み込みを実施し,動作検証を行った.アタッチメントは,チタン合金製振動縮小ホーンを試験片に取り付け,さらにその下側にフランジ付き半波長棒取り付ける形とした.かつ,そのフランジ部が振動の節となるように設計した.空圧アクチュエータによりフランジ部に静荷重を負荷することにより,共振を妨げずに大きな静的荷重を負荷可能とした.それらの部品を現有の超音波疲労試験組み付けて,動作確認したところ,共振を妨げることなく,十分大きな静的荷重を作用させたたまま,疲労試験が実施可能なことを確認した.また,引張-引張(R=0.1)の疲労試験条件の下で疲労試験を実施し,10^7回程度で炭素繊維強化エポキシ積層板の試験片が疲労破損したのを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は超音波疲労試験装置への平均応力作用機構の組み込みと動作検証を予定していたが,「研究実績の概要」で述べたとおり,両件とも予定通り進展したため.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べたとおり,超音波疲労試験装置の改造と動作確認が終了したたため,2024年度は引張平均応力下での疲労試験を油圧サーボ型疲労試験機ならびに超音波疲労試験を用いて実施する.供試材は,産業界で広く使われることの多い,炭素繊維強化エポキシの擬似等方性積層板とする.その疲労試験条件は,R=0.1(引張-引張)とする.油圧サーボ式疲労試験機により2×10^7回までの疲労試験を実施する.超音波疲労試験は繰返し数10^6~10^10回の範囲で実施する.S-Nデータの取得にいずれも1.5年を見込んでいる.また,繰返し負荷をうける高分子の分子構造レベルでの損傷蓄積(高分子鎖の切断など)は繰返し負荷による損失仕事の変化に現れるという知見に基づき,疲労試験中の試験片温度をサーモグラフィーカメラでモニタし,ひずみ速度の違いの影響の考察に資するものとする.また,分子構造レベルでの損傷蓄積過程に違いがあれば,ミクロからメゾスケールの損傷発達過程にも影響を及ぼすと考えられるから,疲労試験を定期的に中断して試験片側面の光学顕微鏡観察とX線による内部観察を実施し,ひずみ速度の違いの影響の考察に資するものとする.
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