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力学試験に基づく骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する脊椎固定術の有用性評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K03573
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分18010:材料力学および機械材料関連
研究機関三重大学

研究代表者

稲葉 忠司  三重大学, 工学研究科, 教授 (70273349)

研究分担者 小畑 秀明  岡山理科大学, 工学部, 准教授 (60437118)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード脊椎運動 / 力学的特性 / 6軸材料試験機 / 骨粗鬆症性椎体圧迫骨折 / 脊椎固定術 / 椎体置換術
研究開始時の研究の概要

身体運動の軸機関および支持機関である脊椎の疾患に対する診断・治療において,脊椎の剛性を把握することは,適切な治療方針・手術手技を決定する上で極めて重要である.そこで本研究では,脊椎の剛性を力学的観点より客観的・定量的に評価することを目的とし,複雑な脊椎変形挙動を6軸材料試験機を用いて実験的に調査する.特に本科研費申請年度においては,脊椎疾患の一つである骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に着目し,本疾患に対して脊椎固定術を施した際の脊椎の剛性を明らかにするとともに,この外科的治療が脊椎の各要素へ及ぼす影響,例えば隣接椎間障害の発生要因となり得るかどうか等について明らかにすることに焦点を絞って研究を実施する.

研究実績の概要

身体運動の軸機関および支持機関である脊椎の疾患に対する診断・治療において,脊椎の剛性を把握することは,適切な治療方針・手術手技を決定する上で極めて重要である.そこで本研究では,脊椎の剛性を力学的観点より客観的・定量的に評価することを目的とし,複雑な脊椎変形挙動を6軸材料試験機を用いて実験的に調査する.特に本科研費申請年度においては,脊椎疾患の一つである骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に着目し,本疾患に対して脊椎固定術を施した際の脊椎の剛性を明らかにするとともに,この外科的治療が脊椎の各要素へ及ぼす影響,例えば隣接椎間障害の発生要因となり得るかどうか等について明らかにすることに焦点を絞って研究を実施する.
椎体圧迫骨折に対する外科的治療の中で,圧潰した椎体に体外から骨セメントを注入し椎体高を復元する経皮的椎体形成術は,比較的低侵襲で,局所麻酔下での日帰り手術が可能であるため,軽度の椎体圧迫骨折に対して多くの施設で実施されている.一方,椎体の圧潰が重度である場合や複数の椎体に多発している場合,あるいはがんの椎骨転移等の場合には,罹患椎体を切除し,金属製の人工椎体による脊柱再建を施すとともに,PS固定具にて脊椎を補強する椎体摘出+後方脊椎固定術(椎体置換術)が適用される.本術式は,経験的に,高度椎体圧迫骨折に対しても優れた固定性が得られるとされているが,その固定性を定量的に調査した報告はほとんどない.
そこで本研究では,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折を伴う脊椎の力学的特性を実験的に明らかにすることを目的とする.この目的を達成するため,本年度は,責任椎間単体の剛性について検討した.その結果,シカ屍体腰椎を対象とした前後屈方向の曲げ試験結果から,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に椎体置換術を施したモデルでは,正常モデルと比較して,特に前屈方向の剛性が高くなることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折を伴う脊椎の剛性を力学的観点より明らかにすることを目的とし,複雑な脊椎変形挙動を実験的に調査する.この目的を達成するため,本年度は,主として,責任椎間単体の剛性について検討した.ここでの力学試験は,科学研究費若手研究(B)の補助を受け開発した脊椎強度測定用6軸材料試験機を使用して,研究代表者および研究協力者(研究代表者の研究室に所属の学生)が行った.この試験機は,6組の垂直直動型アクチュエータによるパラレルメカニズムとエンドエフェクタに内蔵した荷重-モーメントセンサにより,任意の自由度において変位および荷重制御下での精密な力学的負荷試験が可能である.力学試験を行うための試験体として,シカ屍体脊椎を用いて,正常モデルおよび罹患椎体を除去して人工椎体を設置し,脊椎後方にPS固定具を装着した固定モデルを製作した.製作した試験体に,前屈および後屈の各運動に対応したモーメントを負荷し,これらの負荷に対する試験体の変形挙動を計測した.
上述のシカ屍体腰椎を対象とした前後屈方向の曲げ試験結果から,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に椎体置換術を施したモデルでは,正常モデルと比較して,特に前屈方向の剛性が高くなることが分かった.また,この剛性増加により,疾患発生前と同じ角度まで曲げ運動を行った際に,固定具装着により失われた責任椎間の可動域を補うために大きなトルクが負荷されて隣接椎間障害が発生することが危惧された.
以上の結果は,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折を伴う脊椎の力学的特性を理解する上で極めて重要な知見であり,よって,「おおむね順調に進展している」と判断した.

今後の研究の推進方策

次年度は,本年度実施した「骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に椎体置換術を施した椎間単体の剛性評価試験」をさらに進めて実験データを蓄積する.この力学試験結果の蓄積により,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折を伴う脊椎の剛性に関する確度の高い重要な知見,すなわち,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に椎体置換術を施した脊椎では,特に前屈において剛性が高くなるとの知見が得られると考えられる.
また次年度は,椎体置換術を施した脊椎において生じる前屈方向の剛性増加が,隣接椎間へ及ぼす影響についての実験的検証を実施する.具体的には,動物屍体腰椎を用いて多椎間試験体モデルを製作し,正常時および椎体置換術施術時における各椎体の変形挙動を,脊椎強度測定用6軸材料試験機を使用した曲げ試験において計測する.この系統的実験により,椎体置換術を施した脊椎では,疾患発生前と同じ角度まで前屈運動を行った際に,固定具装着により失われた責任椎間の可動域を補うために大きなトルクが負荷されて隣接椎間障害が発生することなど,椎体圧迫骨折への固定具の装着が隣接椎間へ及ぼす影響について明らかになると考えられる.
さらに,脊椎構成要素の物性値,例えば椎間板の非線形的な応力-ひずみ関係等を数理モデル化した有限要素解析を実施し,実験結果と比較・検証することにより,本術式に対する最適なインプラント開発の指針となる知見を得ることを試みる.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 6軸材料試験機を用いた椎体置換術の固定性評価2023

    • 著者名/発表者名
      稲葉忠司,馬場創太郎,吉川高正,加藤貴也,水野哲太郎,笠井裕一
    • 学会等名
      第50回日本臨床バイオメカニクス学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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