研究課題/領域番号 |
23K03578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
定松 直 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (10709554)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 金属強度 / 塑性変形 / 材料工学 / 転位 / 電子顕微鏡 / 転位論 / 力学特性 / 電子顕微鏡法透過型 / デジタル画像相関法 |
研究開始時の研究の概要 |
多結晶金属の塑性変形挙動の解明は,材料科学分野に残された最も基礎的課題の1つである.多結晶体は,個々の結晶粒の塑性異方性に由来して異なる変形挙動を示す究極の複合材料と言える.それ故,その力学的性質を根本から理解するには,個々の結晶粒内の局所的な応力-ひずみ応答と合わせ,その不均質なミクロ組織変化を明らかにすることが必須となる.本研究では,多結晶体を構成する個々の結晶粒内の(1)結晶方位,(2)転位組織,(3)局所応力,(4)塑性ひずみの各分布を,従来ない広領域/高分解能でその場観測し,多結晶体の降伏及び加工硬化現象の本質に直結する「多結晶変形ヘテロ構造」を明確化すると共に,そのモデル化に挑む.
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研究実績の概要 |
本年度は,銅を用いた同一試料でのその場引張における局所応力-ひずみ応答の実測を行うための研究環境整備が当初の予定であったが,材料を変更し,アルミおよび純鉄,低炭素鋼を用いた研究を行った.具体的には,デジタル画像相関法を用いた塑性ひずみの解析, EBSD-Wilkinson法を用いた局所応力の計測方法およびその定量評価法の確立を目指した.デジタル画像相関法によるひずみ分布解析では,まず,SEM内小型引張ステージを開発し,研究環境を整えた.また,従来手法のエッチングによるランダムパターン付与では詳細なひずみ分布解析が行えなかったため,新たなランダムパターン付与方法であるコロイダルシリカを用いたランダムパターン付与方法を開発し,詳細なひずみ分布解析を可能とした.EBSD-Wilkinson法を用いた局所応力の測定においては使用ソフトウェアおよび使用SEMに問題があり,今年度は研究環境を整えることができなかった.応力を測定する方法として,DICを用いた差分解析を試みたが,ある程度の応力分布は測定できる可能性が示唆されたものの,当初予定していたほどの詳細な分析は未だ可能となっていない. また,次年度以降予定していた結晶塑性シミュレーションおよびTEM観察をを前倒しして取り組んだ.結晶塑性シミュレーションでは多結晶において,ひずみの集中する組織学的特徴抽出を行った.また,TEM観察では純鉄,および低炭素鋼において,3次元での転位構造解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初応力分布解析に使用する予定だったEBSD-Wilkinson法を用いた応力分布解析法について確立できていないため.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,EBSD-Wilkinson法を用いた応力分布解析法の確立をめざす.改良版のソフトウェアの使用を検討している. 当初来年度に予定していた結晶塑性シミュレーションおよびTEM観察については方法については確立済みであるため,今後はデジタル画像相関方とEBSD-Wilkinson法を用いた局所応力-ひずみ関係実測値と結晶塑性シミュレーションの計算結果との対比を行う.その結果により,より予測精度の高い,結晶塑性モデルの提案を行いたいと考えている. また,多結晶体材料の変形挙動メカニズムの解明を目指し,ミクロンーナノサイズレベルで,弾性・塑性ひずみ,および転位分布,転位性格解析をそれぞれ同一試料で行う.
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