研究課題/領域番号 |
23K03584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 鹿児島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
徳永 仁夫 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70435460)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 金属ガラス / 傾斜機能材料 / 多孔質材料 / 放電プラズマ焼結 / 複合材料 / 多孔質 / 傾斜機能 / マルテンサイト変態 |
研究開始時の研究の概要 |
金属ガラスは,高強度,低ヤング率,高耐食性といった特徴を有しており,次世代の金属基生体材料としての可能性を有する.しかしながら,材料組織制御が難しい,低延性(塑性変形を示さない),ヤング率が骨のそれよりも数倍高いことなど,実用化を妨げる課題が存在する.本研究では,次世代金属基生体材料を目指し,金属ガラスを基盤とした高延性・低ヤング率な複合材料を創製する.材料作製プロセスとして,ガスアトマイズ法,放電プラズマ焼結法,焼結スペーサ法を組み合わせた手法を提案する.さらに作製した材料の力学的性質を調査し,生体材料としての可能性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
Zr-Cu-Al 金属ガラス(以下,MG)をマトリックスとしてZrCuが析出した複合材料は,高延性・低ヤング率を示す.一方で,これらの材料は溶融・凝固(溶製法)によって作製されることが一般的である.溶製法では析出相/ガラスマトリックスの体積分率,析出相の結晶構造,形状を制御することが難しい.本研究では,Zr-Cu-Al MGマトリックス複合材料の材料組織制御プロセス構築を目的とする.特に,材料表面にはMG相が存在し,内部にはZrCuが形成された複合材料の創製を目指す.また,ポーラス化によるヤング率の低下も達成する.具体的な材料組織制御として,粉末冶金技術(ガスアトマイズ(以下,GA)+放電プラズマ焼結(以下,SPS))を適用する. 本研究では特にSPSにおける焼結温度が,焼結体の材料組織に及ぼす影響明らかにする.また,作製した試料を用いて圧縮試験を行い,MGを形成するSPS条件の調査,および低ヤング率化と高延性化実現の可能性について調査した. その結果,焼結温度が360℃から420℃までの焼結体ではハローパターンが確認され,ガラス構造の焼結体が得られることを確認した.一方で焼結温度が440℃のSPSではZr2Cuとみられる結晶の形成が確認された.いずれのSPS条件においてもZrCuの形成は確認されなかった.また,焼結温度が高いほどほど焼結体密度が高い.溶製材と比較した場合の相対密度は,焼結温度360℃では92%,420℃ では99%程度の値が得られた.次に圧縮試験を行い,焼結温度が低くなるほど,弾性変形領域の勾配が低くなる傾向があることを確認した.すなわち,ポーラス化による低ヤング率化の可能性が示された.また低密度な焼結体は降伏挙動を示す傾向があった.圧縮試験後破面観察結果より,MG特有のベインパターンが確認され,焼結体がMGからなることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放電プラズマ焼結によりMG焼結体が得られること,ガラス構造が得られる焼結温度には適当な範囲があること,焼結温度によって焼結体密度が変化することを明らかにした.一方で,目的とする多孔質構造,材料組織を得るには至っていない.遅れの理由は,研究時間を確保が難しかったことであり,今後は研究計画に沿って研究を進める. まず,多孔質構造を制御する方法を確立する.その後,材料組織,特に析出する結晶相の種類や体積分率を制御する方法を確立する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で,焼結温度が高いほど焼結体が緻密化することが明らかとなった.また,MGマトリックスが得られる焼結温度には,適正な範囲があることを確認した.一方で,一般的な放電プラズマ焼結で得られる多孔質材料の気孔率は,本研究の目的である,低ヤング率,高延性の実現には不十分である.今後は,さらに気孔率を高めるために,焼結スペーサー法を適用する.具体的には塩化ナトリウム粒子などをスペーサー粒子として,合金粉末と混合して焼結を行い,気孔率を制御する.多孔質化は材料の低ヤング率かだけでなく軽量化,塑性変形発現にも寄与する可能性がある.圧縮試験や引張試験によって変形挙動を明らかにする.
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