研究課題/領域番号 |
23K03586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
角五 正弘 山形大学, 大学院理工学研究科, 客員教授 (70769968)
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研究分担者 |
杉本 昌隆 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (10361271)
SUKUMARAN S.K. 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (70598177)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 短鎖分岐 / ポリエチレン / 衝撃強度 / タイ分子 / 耐衝撃性 / 高速衝撃変形 |
研究開始時の研究の概要 |
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は短鎖分岐が長くなると耐衝撃性が向上することが経験的に知られており、これまで多くの研究が行われ、隣り合うラメラを貫通するいわゆるタイ分子が大きな役割を果たすとされてきた。 しかし、それを裏付ける十分な根拠はなくメカニズムの理解は十分ではない。 本研究では、分子構造を精密に制御したサンプルを用い、超高速衝撃試験機と高速応答荷重検出器、低振動変位計を用いて引張強度の速度依存性を調べ、変形前後のモルフォロジー変化を放射光や X 線回折により解析することでLLDPE の短鎖分岐長と耐衝撃強度の関係を解明する。 本研究成果は結晶性分子における高強度化設計指針となりえる。
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研究実績の概要 |
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、短鎖分岐が長くなると耐衝撃性が向上するこ とが知られており、これまで熱的分析やX線構造解析などから研究が行われ、図1に示すよ うな隣り合うラメラを貫通するいわゆるタイ分子が大きな役割を果たしていると考えられて きたがそのメカニズムの理解は十分ではない。 本研究では、短鎖分岐と衝撃強度の関係を明らかにするために、分子構造を精密に制御した サンプルを用い、高速衝撃試験機と高速応答荷重検出器、低振動変位計を用いて引張強度の 速度依存性を広範囲に調べる。さらに、変形前後のモルフォロジー変化を放射光やX線回折 により解析することで、結晶性高分子材料の高強度化の設計指針を得ることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
短鎖分岐の長さが異なる市販のLLDPE2種(C4:Ziegler-Natta触媒、C6:メタロセン触媒)を用いひずみ速度0.044 s-1、0.26 s-1、158 s-1の3つのひずみ速度での引張試験を行った。ひずみ速度0.044 s-1においてC4は降伏を示したのちソフトニングを生じネッキングを経てひずみ硬化を示し破断する。C6も基本的に同様の傾向である。しかし、極めてひずみ速度の大きな158 s-1ではC4は降伏を示した後、ひずみ硬化による立ち上がりを示さず小さなひずみで破断する挙動を見せた。一方、C6では降伏後に一定の値を示した後、遅い変形と同様に明らかなひずみ硬化性を示した。この短鎖分岐の長さの違いが何によるものか明らかにするため、触媒およびプロセスが同一で密度がほぼ同等のLLDPEを用意し、上と同様の実験を行ったところ、市販品とほぼ同様の結果を得ることができ、短鎖分岐の違いがLLDPEが形成する結晶、非晶などの高次構造によるであることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
短鎖分岐の違いが衝撃強度に与える影響について、1つの可能性は応力を担うタイ分子の数に差があげられる。ひずみ硬化が生じるひずみは塑性領域であり、この段階ではすでにLLDPEのラメラ構造はミクロフィブリルへの崩壊がすでに始まっているものと考えられる。この領域でタイ分子が応力を担える状態にあるかどうかはやや考えにくい。そこで24年度は小角X線散乱(SAXS)を用いて変形前後の高次構造変化の観点から検討する。正確な応力ーひずみ曲線を得るため、23年度に購入した射出成形機を用いて試験片を作製する。
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