研究課題/領域番号 |
23K03595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
仲井 正昭 近畿大学, 理工学部, 教授 (20431603)
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研究分担者 |
木口 賢紀 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (70311660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | チタン合金 / 生体材料 / 結晶粒径 / 弾性率 / 疲労限度比 / β型チタン合金 / 低弾性率 / 疲労強度 / ω相 / 金属製インプラント |
研究開始時の研究の概要 |
生体に対する低侵襲性実現の観点から、医療用に特化した低弾性率β型チタン合金の実用化が期待されている。しかし、低弾性率β型チタン合金の実用化に対して、低い耐久性(特に疲労強度)がボトルネックとなっている。研究代表者は、低弾性率β型チタン合金の開発を進める中で、変形誘起ω相変態が生じるβ型チタン合金が極めて高い疲労限度比を示すことを見いだした。そこで本研究では、低弾性率β型チタン合金の高疲労限度比化の指針を得るため、この現象の起源について検討する。
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研究実績の概要 |
生体に対する低侵襲性実現の観点から、医療用に特化した低弾性率チタン合金の実用化が期待されている。しかし、低弾性率チタン合金の実用化を実現するにあたり、低耐久性(特に疲労強度)が材料特性面におけるボトルネックとなっている。本研究では、低弾性率チタン合金の低耐久性を克服するための指針を得るべく、先行研究において見出したTi-Cr系β型チタン合金の高疲労限度比の起源解明を目指した検討を進めている。このTi-Cr系β型チタン合金は変形誘起ω相変態が発現する合金であり、さらには、先行研究において、同合金の疲労強度が結晶粒径に強く依存することを明らかにしている。本研究では、この強い結晶粒径依存性を高疲労限度比の起源解明の手がかりと考えた。そこで、本年度は、Ti-Cr系β型チタン合金における結晶粒径制御のための加工熱処理条件について検討した。供試材として、溶体化処理後にβ単相となる範囲内でCr濃度を変化させたTi-Cr系β型チタン合金を用い、溶体化温度を系統的に変化させて、同処理後の結晶粒径を評価した。その結果、いずれのCr濃度の合金においても溶体化温度が高いほど結晶粒が粗大化した。Cr濃度が高い合金は、同濃度が低い合金に比べて、結晶粒の粗大化が抑制される傾向を示した。このような結晶粒径と溶体化温度との関係を各合金について定量的に求めた。さらに、この関係を基に溶体化温度を設定することで、Cr濃度の異なる合金の結晶粒径を揃えることが可能となることを実験的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究において見出したTi-Cr系β型チタン合金の高疲労限度比が、強い結晶粒径依存性を示したことから、この特性の起源解明には、結晶粒径を変化させた試料の作製が必要であると考えた。そこで、本年度は同合金の結晶粒径の制御方法の確立を目標とした。供試材の結晶粒径と溶体化温度との関係を定量的に求め、その関係を用いることで、Cr濃度の異なる合金の結晶粒径を揃えることが可能となった。以上のように本年度の目標を達成できたことから、本研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた結晶粒径と溶体化温度との関係を用いて、各Cr濃度のTi-Cr系β型チタン合金の結晶粒径を揃えた試料を作製し、系統的にひずみ量を変化させて引張変形を与え、その際の組織変化を観察する。これにより、Cr濃度、結晶粒径および引張変形量と組織との関係を明らかにする予定である。
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