研究課題/領域番号 |
23K03609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中村 嘉恵 日本大学, 理工学部, 准教授 (10772741)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 高圧蒸気 / 設計・製作 / 蒸気漏れ / 難燃性Mg合金 / 耐食性 / 表面処理 / 蒸気コーティング法 / 陽極酸化法 |
研究開始時の研究の概要 |
Mgは,強度・軽量性に優れ,鉄やアルミに代わる金属材料として注目されている.しかし,Mgは腐食しやすく燃え易いため,表面処理によりMg基材を防食皮膜で覆い,耐食性を向上させる必要がある.本研究では,水蒸気とMgの化学反応によって,耐食性の高い金属水酸化物の皮膜がMg基材表面に形成されることに着目した.ただ,水蒸気を用いた表面処理方法は膜厚制御が難しく,処理中に皮膜が割れやすい.そこで,膜厚制御が容易で,既に実用されている陽極酸化法をもとに,電解・蒸気コーティング複合処理技術の開発を目指す.この技術により,Mg基材上に形成した耐食性被膜の膜厚制御,および構成物質を制御できる可能性がある.
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研究実績の概要 |
令和5年度は,(1)電解・蒸気コーティング複合表面処理装置の設計・製作,(2)装置の試運転,の2点について実施した.特に時間を要した課題は,装置の製作であった.本研究課題で使用したい実験装置では,実験中に内部に高圧蒸気が発生するため,それを漏らさないよう十分な密閉状態を保つ必要がある.温度についても200℃程度に耐えうる部品材料を使用しなければならない.これらの制約を踏まえて,装置の設計・試作と試運転を繰り返した.結果として,装置のフタと本体,圧力センサ等の挿入口のような,部品同士の継ぎ目となる箇所で蒸気の漏れが生じやすく,継ぎ目へのパッキン挿入方法によっても,蒸気漏れの量が変化することが判明した.これらの試行によって得られた知見をもとに,蒸気漏れが生じないよう修正を実施中である. 装置の製作状況としては,令和5年度終了時点では,蒸気の漏れを完全に抑えるには至っていない状態であった.具体的には,本研究課題で行う実験では,通電を行いながら,中低温高圧蒸気環境下で,マグネシウム合金試験片を5~6時間保温することを目指している.この時間を通して蒸気の漏れを完全に抑えなければならないが,令和5年度終了時点での装置では,実験が完了するまでに約10%容器内圧力が低下していた. しかし,前述のように,蒸気漏れの原因を明らかにすることはできたため,現在はすでに装置の修正作業に取り掛かっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の設計・製作には時間を要しているものの,これに関しては当初より予想していたことであった.ただ,令和5年度内に完成とはならなかったという点から考えると遅れている.一方で,装置製作で生じうる問題点と原因が明らかになった点に関しては大きな進展といえる.これらのことから,「おおむね順調である」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
「進捗状況の理由」欄に令和5年終了時点で実験装置が完成しなかった点については,進捗状況は遅れていると記載したが,実験装置は十分に準備しなければ,その後の実験で信頼できる結果を得られないため,時間をかけて作り込んでいく予定である. ただ,この遅れの挽回は可能であると考えている.この理由は,今後の推進方策を以下のように考えているためである. まず,装置完成後はマグネシウム合金試験片に対して通電しながらの蒸気コーティング処理実験を行う.最初のうちは印加電圧・電流値は固定して,単に通電の有無によって形成される被膜にどのような影響があるか調査する.その後,印加電圧・電流値を変化させ,形成される被膜との関係を調査する. 被膜の調査については,令和5年度に購入した分析装置(FT-IR)や,所属機関の共通機器を用いる.このように,分析機器の準備はすでに整っている状態であるため,前述の通り,実験装置の作り込みに時間を要したとしても,その後の進捗状況の挽回は可能である.
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