研究課題/領域番号 |
23K03617
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
清水 毅 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40293443)
|
研究分担者 |
孕石 泰丈 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10402489)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | 超音波援用加工 / バニシ加工 / ピーニング加工 / 表面改質 / ボールエンドミル / 工具逆回転 / バニッシング / 超音波援用 / ピーニング / エンドミル / 残留応力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ボールエンドミルを逆回転させることで切れ刃逃げ面によるバニシングおよび残留応力の付与を超音波援用と組み合わせて行う新しい加工方法である.これまでの結果から超音波を援用した場合のほうが,超音波を援用しない場合よりも工具摩耗が少ない性質を示しており,また切れ刃のないピン形状の工具を使用した場合には超音波援用したにもかかわらず工具摩耗が見られた.この現象について高速度カメラを用いた加工点の解析・解明を行い,最終的に表面粗さ,残留応力の予測モデルを構築する.
|
研究実績の概要 |
本研究は,工具逆回転によるバニシ作用と超音波援用によるピーニング効果の相互作用により被加工物表面に残留応力を発生させる新しい加工方法の提案とその加工現象の解明である.これまで,残留応力の付与,超音波の有無による摩耗の違いが観察されたが,加工現象は不明であった. そこで,加工現象を解明するために,[1]超音波援用時の工具接触点における試料表面の実験的挙動解明,[2]工具形状,押しつけ量,試料表面残留応力の解析,[3]前述[1][2]を踏まえた表面粗さ,残留応力の予測モデル構築,を目的として取り組んでいる.
初年度は,2枚刃のボールエンドミルを用いて[1][2]に取り組んだ.[1]では,高速度カメラにより工具接触点付近の観察を行い加工現象の解明に取り組んだ.これまで,ボールエンドミルを逆回転により使用しているにもかかわらず,刃中心部付近のみ摩耗が観察されていた.高速度カメラによる観察では,工具送りを数種類選択し行った結果,この摩耗は切削による現象であることが解明された.ボールエンドミルを逆回転させるとき,進行方向右側領域に刃が存在する際に試料への塑性変形を与え,進行方向左側領域では,切削現象が発生していることが明らかになった.また,工具中心部分のみ摩耗が発生する理由は,工具の中心付近ほど切削速度が小さくなるため,どのような条件であっても必ず切削現象が発生するためであることが分かった.一方,[2]では,微小切削モデルおよびヘルツの接触理論による検討を行った.ヘルツの接触理論では摩擦が発生しないことが条件となっているため,超音波援用時のモデルとした.両手法とも各種パラメータが必要となるが,実験で実際に使用した工具形状,実験時に取得した加工データを元に解析した.その結果,微小切削モデルによるバニシ効果は工具押し込み量が小さいため,超音波援用の効果が支配的であることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,加工現象を解明するために,[1]超音波援用時の工具接触点における試料表面の実験的挙動解明,[2]工具形状,押しつけ量,試料表面残留応力の解析,[3]前述[1][2]を踏まえた表面粗さ,残留応力の予測モデル構築,を目的として取り組んでいる. 1年目の予定としては,[1]超音波援用時の工具接触点における試料表面の実験的挙動解明であった.また,[2]工具形状,押しつけ量,試料表面残留応力の解析 の一部を実施した.結果として,工具形状の違いに関する段階まで行うことができたため,おおむね順調であると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
これまで,ボールエンドミルを用いた高速度カメラによる実験的解析を行った. 実験を行う過程で,加工現象の解明には2次元切削モデルのような基礎的なモデルの実験が追補として必要であるとの判断に至った. そこで,(1)一枚刃のエンドミルによる基礎的な追補実験が必要 (2)残留応力,表面粗さの予測モデルを構築するため,切れ刃すくい角の異なる数種の工具を用いた加工実験 を行う予定である. (1)では,スクエアエンドミルを1枚刃に整形し,2次元モデルでの検討を行う.(2)では,複数種のボールエンドミルを採用し,実験を行う. その後,まとめを行う予定である.
|