研究課題/領域番号 |
23K03619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
是澤 宏之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70295012)
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研究分担者 |
村上 直 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (90443499)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 射出成形金型 / モールドデポジット / 金型 |
研究開始時の研究の概要 |
射出成形法の成形不良について,射出中の溶融樹脂から発生するガスに起因する成形不良の低減を目指す.このガスは,成形中の金型変形により金型分割面上に一時的に形成される間隙をガスベントとして,金型内部から外部へ排出される.この変形を精緻に求めるため,数値解析を用いて成形中の金型変形量を求めると同時に実際の成形実験を通じてその妥当性を検討する.このガスは金型内で固化・堆積して成形不良化することから,発生状況のモニタリングに半導体技術を援用したSurface Acoustic Wave(SAW)デバイスを試作する.間隙量と発生ガスによる固化物との関係の検討により成形不良の発生抑止あるいは回避を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,射出成形法の成形不良の一つである,射出成形中の溶融樹脂から発生するガスに起因する成形不良の低減などである.このガスは,成形中の金型変形により金型分割面上に一時的に形成される間隙をガスベントとし,金型内部から外部へ排出される.この変形は,数値解析を用いて成形中の金型変形量を求めると同時に実際の成形実験を通じてその妥当性の検討が必須である.このガスは金型内で固化・堆積して成形不良化することから,その発生状況のモニタリングに半導体製造技術を援用した弾性表面波(Surface Acoustic Wave;SAW)デバイスを試作する.間隙量と発生ガスによる固化物との関係の検討により成形不良の発生抑止あるいは回避を試みる.当該年度は,基礎的な実験を可能とする試験金型の設計および製作を中心に実施した.これに関連して,設計時は数値解析を援用することで,成形中の金型の変形を模擬して金型の変形と間隙発生の状態を数値解析により求めた.SAWデバイスの試作では,半導体製造プロセスを使用して水晶基板上へのくし形電極の形成等を調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度においては,(1)実験金型の設計・製作および(2)SAWデバイスの試作を実施した.(1)については,成形中に金型に作用する間隙を実験的に捉えるための成形品形状等の検討に時間を要した.検討に際し,数値解析を援用して成形中の金型分割面の挙動を模擬し,間隙量を推定した,加えて,間隙量の発生は,金型の型締時の状況にも依存することから,実際の金型を用いて金型分割面上の接触状態の評価を実施した.その結果として,型締時で固定型と可動型は接触に偏りがあることが判明した.なお,数値解析への反映については現在検討中である.試験金型に用いる成形品形状については,実験における取り扱いの簡易性を考慮して,基本となる成形品の厚さを一定とした円形状とし,その周囲に長方形の断面形状を有するバー状のパーツを複数配置し,各バーの断面形状の高さを変化させることで,成形中に発生する間隙量を模擬することとした.間隙量を意図的に設けたことにより,バリの発生も想定されることから,バリが発生しない高さをガス排出のベントとして機能する最大の高さとした.基礎的な成形実験を実施した結果,PP樹脂を使用した場合,ガスベントは10μm以下である可能性を得た.ただし,10μm以下の間隙については,今後実施予定である.(2)については,水晶基板面に半導体プロセスによる,弾性表面波を発生させるくし形電極の形成に関して,製造時のプロセスパラメータなどを調査した.なお,デバイス特性等の評価については今後実施予定である.
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今後の研究の推進方策 |
試験金型については,間隙量10μm以下でのベント機能を有する試験金型の製作を実施する.これにより,成形中のモールドデボジットを含んだガスについて,間隙量と排出量との関係を測定により評価する.その際,溶融樹脂からのガスの発生は,射出成形条件に影響を受けることが容易に想定されることから,圧力センサなどの各種センサを装備した金型を追加工により製作予定である.成形品形状が円形状でもあることから,各種センサは射出中の溶融樹脂の流動状態に影響を与えにくい場所への配置が可能である.加えて,円形の基本形状に接続するバー形状側かつ可能な限り間隙量の近い箇所となる様,SAWデバイスの取り付けを検討する.なお,数値解析による成形の間隙量の発生の推定については,引き続き検討をつづける.SAWデバイスについては,その特性評価から開始する予定である.最初に,射出成形機のパージ機能などを利用し,その際に発生する溶融樹脂由来の発生ガスをデバイス吹き付けることによりモールドデポジットのデバイス基板表面(検知領域)への付着を試みる.デバイス表面への付着状況などは,ネットワークアナライザによる特性変化の評価および電子顕微鏡による付着物の観察などを通じて付着状況などを評価する.その後,前述の試験金型に取り付けることにより,実成形実験を通じて,射出回数とデバイス上に付着するであろうモールドデポジットの発生状況を評価する予定である.これらの結果は,SAWデバイスのくし形電極を含めた設計へもフィードバックする予定である.
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