研究課題/領域番号 |
23K03630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
井山 徹郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00452087)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 穴あけ加工 / ガラス加工 / 樹脂加工 / ガラス-樹脂一体成型 / 第5世代移動通信システム / 複合砥石 |
研究開始時の研究の概要 |
本事業では,次世代型スマートフォンを代表とするデバイスに用いられるガラス/樹脂一体成型部材を対象とした,高精度高効率穴あけ加工を目的とした複合砥石を開発する。従来の砥石製造工程ではきわめて困難であった砥石の複合化について,3Dプリンタによる積層造形法を応用し,部位ごとに組織の異なる複合砥石のきわめて容易な作製方法を確立する.それに加えて,空洞部などの内部構造を自由に制御することができるため,砥石の部位ごとに空孔率や弾性を変化させることが可能であり,現在,複数工程での加工が必要であるガラス/樹脂一体成型部材に対して,単一の工具による荒加工から仕上げ加工までの一貫加工の実現を目指す.
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研究実績の概要 |
近年,スマートフォンなどに代表されるIoTデバイスにおいては,次世代通信規格である5G通信〈第5世代移動通信システム〉の電波の減衰を低減するために,筐体材料としてガラスと樹脂の一体成型部材が使われることが増えている.これらのガラス-樹脂一体成型部材は所定の形状に前加工されたガラス材料を射出成型金型内に固定し樹脂と一体成型される。これらの一体成型部材はガラスと樹脂という相反する特性をもつ材料の複合材料であるため,成型後の部材の後加工は,加工精度の悪化や界面の剥離などの理由からほとんど実施されることはない。 本研究においてはこれらのガラス-樹脂一体成型部材の穴あけ加工に対して,軸付き砥石に代表される固定砥粒工具を複合化により高精度加工を達成することを目的とする。そのために従来の砥石製造工程ではきわめて困難であった砥石の複合化について,3Dプリンタによる積層造形法を応用し,部位ごとに組織の異なる複合砥石のきわめて容易な作製方法を確立する。 積層造形法の一種である材料押出方式(MEX方式)は複数の異なるノズルから別々の材料を供給して,多数の材料を一体成形させた造形物を作製することができるため,部位ごとに違った組成の材料を使用することで複合砥石を容易に製作できる。 令和5年度においてはガラス,樹脂のそれぞれの単体材料を対象として,加工開始面の違い,砥石形状や砥石の要素が加工精度,加工抵抗におよぼす影響を調査した。ガラス材料面から加工を開始した場合は,樹脂材料面から加工を開始した場合に比べて,スラスト方向の加工抵抗の最大値が30%以上小さくなった。これについてガラスの切屑が樹脂材料に対して見かけ上の砥粒として作用していると思われるため,今後は工具側の設計因子に加えて工作物材料の加工特性についても併せて解明を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で掲げたとおり,積層造形法によるビトリファイド系砥石の作製方法について,積層に適した水分量,積層造形時のパラメーターを実験的に明らかすることができた。これにより所望する形状,要素の砥石を積層造形法により作製できる環境を構築できている。 ガラスまたは樹脂の単体材料を対象として,積層造形法で作製した砥石を用いた穴あけ加工が可能であることが確認された。また,ガラスと樹脂の接着体に対して,同様に加工実験を進めており,ガラス面から加工が始まるように配置したほうが,樹脂から加工した場合に比べて加工抵抗が低減されることが明らかとなった。 ガラス-樹脂一体成型部材の後加工においては,加工開始面の違いによる加工特性への影響が大きいため,当初計画していた工具側の設計パラメータの最適化に加えて,ガラス-樹脂一体成型部材の加工特性についても解明を進める。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度ではガラス―樹脂一体成型部材の調達ができず,やむを得なく接着体を工作物材料として使用していたため,材料界面の剥離などを評価するに至っていない。そのため翌年度以降はガラス―樹脂一体成型部材の作製環境を整え同様の加工実験を行う。 砥石の複合化については,砥粒材料,砥粒サイズ,内部構造の三因子が工具の部位によって異なる異組成型の複合砥石を作製し,ガラス―樹脂一体成型部材の加工特性を解明する。単一組成の砥石を用いた場合と加工特性の比較を行い,本研究で提案する手法の効果について評価する。
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