研究課題/領域番号 |
23K03645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
畠中 清史 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (40325577)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | トライボロジー / ロータダイナミクス / 機械要素 / すべり軸受 / 流体潤滑モデル / 熱流体潤滑モデル |
研究開始時の研究の概要 |
近年の環境問題への関心の高まりと相まって、ターボ機械は高速運転による高効率化が求められている。本研究は、高速回転時に生じる振動問題を解消した製品の設計開発への応用を見据えた「すべり軸受の簡易設計法」の提示を目的とする。特に、振動問題との関わりが深い軸受動剛性の簡易設計式の導出が中心となる。油膜破断モデルの仮定が不要な簡易熱流体潤滑モデルの開発、このモデルによる予測結果をもととする軸受性能データベースの構築、データベース値をもととする軸受性能の簡易設計式の導出、という3つを柱を据える。簡便、迅速、直感的、高精度をキーワードとするすべり軸受の設計法は存在しない。本研究は、これの具現化を目指す。
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研究実績の概要 |
本申請課題は高速回転時に生じる振動問題を解決した製品の設計開発への応用を見据えた「すべり軸受の簡易設計法」の提示を目指す.特に,振動問題との関わりが深い軸受動剛性の簡易設計式の導出を中心に据える.(1)簡易熱流体潤滑モデルの開発,(2)軸受性能データベースの構築,(3)簡易設計式の導出が3本の柱となる.(1)について,二層流モデルを適用する前段階として,従来の単層流のすべり軸受油膜の解析に取り組んだ.まずは軸受動剛性を2種類の方法で求めた.1つはジャーナルの微小運動にともなう油膜反力の変動から算出する方法,もう1つはその運動にともなう油膜圧力の微小な変動から算出する方法である.油膜破断モデルにゾンマーフェルト境界条件を適用した場合は両方法の結果は完全に一致した.一方,レイノルズ境界条件を適用した場合はゾンマーフェルト境界条件とはまったく異なる結果が得られ,また,算出方法の違いでまったく異なる結果となった.(2)は本年度は未着手である.(3)について,既存の軸受性能データベースを用いて,従来の回帰分析に代わり深層学習を利用して,軸受性能を予測する設計式の導出を試みた.多項式で近似する回帰分析とは異なり,深層学習では比較的簡素な形をした関数を複数の入れ子構造にした合成関数を利用した回帰式となる.回帰に先立ちハイパーパラメータを確定する作業があり,これの特定に時間がかかったため,初年度は適合度が不十分な回帰式の提示に留まった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記(1)について当初計画では2~3年の開発期間を想定していたため,モデルの開発を終えられていない初年度は計画通りといえる.とはいえ,従来モデルの問題点の解決は最低限達成しておきたかったが達成できなかったので「やや遅れている」との評価を下した.本年度は,二層流モデルを適用する前段階として,従来の単層流モデルのすべり軸受油膜の解析に取り組んだ.まずは軸受動剛性を2種類の方法で求めた.1つはジャーナルの微小運動にともなう油膜反力の変動から算出する方法,もう1つはその運動にともなう油膜圧力の微小な変動から算出する方法である.油膜破断モデルにゾンマーフェルト境界条件を適用した場合は両方法の結果は完全に一致した.一方,レイノルズ境界条件を適用した場合はゾンマーフェルト境界条件とはまったく異なる結果が得られ,また,算出方法の違いでまったく異なる結果となった.油膜破断モデルの違いによる差は静的な釣合い位置が大幅にずれることに起因することは確認できたが,算出方法による差は原因を特定できなかった.(3)については,深層学習プログラムの開発を進めるうえで想像していたほどには困難な点はなかった.
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今後の研究の推進方策 |
(1)について,データベース構築の前提となる簡易熱流体モデルの開発には手間取っている.初年度に明らかにできた単層流モデルの問題点を早々に解決し,微小な圧力変動を利用して軸受動剛性を算出できる筋道をつける.単層流モデルの問題が解消できたならば二層流モデルの導出に進む.油膜の密度・粘度が圧力と温度に依存して変化するとするモデルを提示するが,従来モデルのように未知パラメータを含むモデルとはしない.次いで,密度・粘度が変化する場合にも対応可能な修正レイノルズ方程式を導出し,単層流モデルの場合と同じ結果が得られることを確認した後,二層流モデルとの結合を行い軸受性能予測プログラムを構築する.各種パラメータの影響度を調べ,影響度の小さなパラメータを排除したモデルの簡易化を行う.簡易モデルによるデータベース構築後,軸受性能予測式を導出する.(3)について,ハイパーパラメータを早急に確定し,工学上,満足できる適合度の回帰式を得ることができる深層学習プログラムの開発を終え,軸受性能予測式を導出できる状況とする.2年度の早い段階での発表を目標にする.
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