研究課題/領域番号 |
23K03651
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
後藤 実 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00435455)
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研究分担者 |
島袋 勝弥 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 抗菌テープ / ナノ複合膜 / 銀 / 銅 / トライボロジー |
研究開始時の研究の概要 |
微生物に対する高い抗菌・抗ウィルス性と人体に対する高い安全性を示す軟質金属(SMe)である銀(Ag)および銅(Cu)と、高い耐摩耗性を示すダイヤモンドライクカーボン(DLC)をナノ構造複合化したSMe/DLC ナノコンポジット膜(SMe-DLC)を、任意形状の固体表面に対する貼付けと剥離が容易なポリイミド(PI)製粘着テープ上に製膜し、SMeナノ粒子の自己浸出現象を利用して膜表面にSMe を持続的供給することによって抗菌性が持続する高耐久性抗菌テープを創製する。本研究は人と機械が触れ合う接触界面における感染症リスクを最小化するための抗菌・抗ウィルスシステム設計技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、銀(Ag)および銅(Cu)を添加した軟質金属含有ダイアモンドライクカーボン(SMe-DLC)を市販のポリイミド(PI) 製粘着テープに成膜し、Ag-DLCおよびCu-DLCとポリイミドテープの付着強度を調査した。また、参照試料として抗菌性を示さない金(Au)を添加したAu-DLCの成膜も行った。SMe-DLC の成膜には、申請者が独自に考案した同心円複合ターゲット(CCT)を用いた高周波マグネトロンスパッタ法により成膜した。その結果、AgまたはCu含有量が20at.%台のとき、エタノール洗浄したSi(100)基板上に成膜したAg-DLCおよびCu-DLCには成膜時の内部圧縮応力に伴う膜のき裂と剥離が認められたが、同様の洗浄レベルのPIテープ上の膜には剥離は認められなかった。但し、成膜時のPIテープの拘束条件により膜表面の亀裂が発生する場合が確認された。但し、定性的評価法の確立については今後の課題である。 また、SMe-DLC 表面の抗菌評価については、細菌の発育阻止帯である培地上のハローの有無によりPIテープ上に成膜したAg-DLCおよびCu-DLCの抗菌性能の定性的評価を行った。その結果、Cu-DLCの周囲には明確なハローは認められなかったが、Ag-DLCの周囲には明確なハローが認められた。引続き次年度は抗菌性の定量評価を行う。 SMe-DLC を軟質ゴムで摩擦したときの抗菌機能耐久性評価については、既存の摩擦摩耗試験装置のスライダー部を直径6mm長さ20mmのシリコンゴム円柱が取付可能な形状に改造するための設計を行った。次年度は摩擦試験を実施し、抗菌耐久性評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PIテープ上へのAg-DLCおよびCu-DLC成膜は予定通り実施できたが、PIテープ上におけるAg-DLCとCu-DLCの付着強度の定量評価は予見していなかった困難により停滞している。また、抗菌性評価については定性的評価に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定したJIS Z2081に準拠した抗菌性評価は1回当たりの評価時間が非常に長いために多数のサンプルを短期間で調査することが困難であるため、比較的定量性が高くかつ評価時間が短い方法を検討し、高精度評価を行うサンプルのスクリーニングを進めていく。人の手指による摩擦を模擬した抗菌耐久性評価は、設計したシリコンゴムスライダーの製作を行い、摩擦回数と抗菌性の変化および抗菌性の回復の有無について明らかにしていく。
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