研究課題/領域番号 |
23K03678
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
仙波 妙子 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (00777477)
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研究分担者 |
高橋 勉 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20216732)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 高濃度粒子分散ペースト / ハンセン溶解度パラメータ / レオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
高濃度粒子分散ペーストにおいて、無機粒子と分散媒の親和性がペーストのレオロジー特性において重要な粒子間距離や粒子の分散状態に影響することに着目し,粒子と分散媒の親和性とレオロジー特性との関係を明らかにすることを試みる.無機粒子と分散媒の親和性はハンセン溶解度パラメータ(HSP)を指標とし,粒子-分散媒間の親和性を定量的に評価する.そして,球状粒子―分散媒ペーストのレオロジー特性を測定する.本研究により,体積分率30vol%以上のペースト製品に対するレオロジー特性の予測や流体設計が可能となるとともに,要求するレオロジー特性を見越した無機粒子の表面化学組成設計も可能となる.
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研究実績の概要 |
高濃度粒子分散ペーストでは、無機粒子と分散媒の親和性が粒子の分散状態に影響することに着目し,無機粒子と分散媒の親和性がレオロジー特性に及ぼす影響を調査した。無機粒子にシリカフィラーを選定し、シランカップリング剤で表面処理を行った。表面処理として、異なる官能基持つシランカップリング剤と、直鎖アルキル基の長さ(炭素数)の異なるシランカップリング剤を選定した。表面処理粒子のハンセン溶解度パラメータは沈降法で評価した。異なる官能基を持つシランカップリング剤は、異なるHSP値を示した。一方、直鎖アルキル基において、アルキル鎖長とHSPとの間に有意な差が認められなかった。各表面処理シリカ粒子と分散媒のエポキシ樹脂の分散性の指標としてREDを導入した。RED≦1でエポキシ樹脂は良分散媒,RED>1で貧分散媒を意味する。 表面処理を行ったシリカフィラーをエポキシ樹脂に混錬し、ペースト化して、レオロジー特性を測定した。応力増加試験で得られたカーブはREDの小さい順に高い応力値を示した。REDが小さい場合、エポキシ樹脂と親和性が高く、シランカップリング剤の官能基は伸長する。このためエポキシ樹脂と官能基は絡み合い、構造を形成することで応力値が高くなると推測する。REDが大きい場合、定常粘弾性試験でせん断速度の上昇で粘度が増加するシアシックニングが見られた。これは貧溶媒中でシランカップリング剤の官能基が収縮し、粒子衝突による摩擦の影響が出たと考えられる。このように、粒子と分散媒のHSPについてREDを導入することで、流動現象の序列とHSPとの間に相関を見出すことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無機粒子としてシリカ粒子を選定、n-オクチルトリエトキシシラン(OTES),3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS),およびN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(PhAPTMS)の官能基の異なるシランカップリング剤で表面処理を行い、沈降法によりハンセン溶解度パラメータ(HSP)を測定した。エポキシ樹脂と各表面処理シリカ粒子のHSPの分散性(親和性)の指標にREDを導入した。RED評価の結果、分散媒のエポキシ樹脂はOTES処理粒子では良溶媒、PhAPTMS処理では貧溶媒となった。 表面処理シリカをエポキシ樹脂に分散してペーストを作製し、応力増加試験と定常粘弾性試験を行った。応力増加試験においてエポキシ樹脂を良溶媒とするOTES処理粒子は降伏値が観察された。これはOTESの官能基が良溶媒中で伸長、分散媒のエポキシ樹脂の分子と絡み合い、構造を形成したと考えられる。この絡み合いの構造が降伏応力を超えるせん断領域で壊れ、流動が起こると推測した。一方、エポキシ樹脂を貧溶媒とするPhATMSでは、官能基が収縮し、絡み合いが少なく、降伏は発生しなかった。また、定常粘弾性試験ではシアシックニングがみられ、粒子同士の衝突が起こったと考える。MPTMSは応力増加、定常粘弾性ともに、OTES、PhAPTMSの中間的な傾向を示し、HSPとレオロジー特性の関連が示唆された。本結果を第60回粉体に関する討論会で発表した。 粒子と分散媒との親和性の関係で、シランカップリング剤の修飾基の長さによる影響を調べるために、直鎖アルキル基の長さ(炭素数)の異なるシランカップリング剤を選定し、同様の実験を行った。アルキル鎖長とHSPとの間に有意な差が認められなかったが、応力増加試験において直鎖が長いほど高い応力値を示した。この結果を第89回化学工学会年次会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
表面処理によるシリカ粒子のHSPの変化とレオロジー特性の間に明らかな関係が見いだせた。また、シランカップリング剤の被覆率、および、結合したシランカップリング剤の高次構造の形成がレオロジー特性に影響することも明らかになった。今後はシランカップリング剤の被覆率を合わせた表面処理シリカ粒子のサンプルを調整し、HSPとレオロジー特性の関係を見出すための検討を行っていく。被覆率は粒子表面へ結合した表面処理剤の分子数と完全被覆に必要な分子数の比から算出される。被覆率を導入することで、無機粒子と分散媒の親和性とレオロジー特性の関係について、より定量的な考察が可能になると考えている。 更に、無機粒子を銀に変更した場合の粒子表面―分散媒親和性のレオロジー特性への影響の調査を進めている。
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