研究課題/領域番号 |
23K03686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松田 景吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 副主任研究員 (50633880)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 雲乱流 / 慣性粒子クラスタリング / 直接数値シミュレーション / 慣性小領域 / スケール依存ストークス数 / レーダー反射強度 / 直接数値計算 / 混相流 |
研究開始時の研究の概要 |
乱流中での雲粒の不均一な分布がレーダー反射強度を増加させる効果を利用したゲリラ豪雨の早期探知手法の確立を目指して,対流雲スケールの乱流混合が生じる条件での雲水量変動の形成機構を解明し,対流雲中のレーダー反射強度の増加量を決定する雲水量変動モデルを構築する.そのために, 大規模な直接数値シミュレーションにおいて雲粒の定常的な乱流混合状態を形成する手法を開発することにより,対流雲中での雲水量変動の形成機構と相変化の影響を解明し,大規模な乱流混合の影響を考慮した雲水量変動モデルを構築する.
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研究実績の概要 |
本研究では,ゲリラ豪雨の早期に探知を目指して,対流雲のレーダー反射強度に影響を及ぼし得る雲水量変動スペクトルの関数モデルを構築することを目的とする。高レイノルズ数の雲乱流中では雲粒の慣性力に由来する乱流クラスタリングと大スケールの雲水量変動に由来する乱流混合が雲水量変動の主要因として挙げられる.そこで今年度は,大スケールの乱流混合の影響が比較的強く現れると考えられる慣性小領域に着目し,乱流クラスタリングが雲水量変動スペクトルに及ぼす影響と,そのスケール依存性について解析を行った.格子点数4096^3の大規模直接数値計算(DNS)を用いて高レイノルズ数乱流場を形成し,7種類の粒径について32億個ずつの粒子の運動を追跡した.得られた粒子分布データに対してフーリエ解析を行い,雲水量変動スペクトルとそのクラスタリング形成に関わる生成スペクトルを算出した.その結果,乱流の慣性小領域における雲水量変動スペクトルは従来の理論的な予測とは異なる傾向を示すことが示された.一方で,そのスペクトルを適切に規格化することで,各スケールの渦の時間スケールに対する粒子の慣性運動時間スケールの比率を表すスケール依存ストークス数を用いた関数モデルにより表されることを明らかにした.本成果は,大スケールでの乱流混合の影響を調べるうえでのベースラインを与えるだけでなく,大気乱流中の雲粒やエアロゾル挙動の高精度なシミュレーションモデルを開発する際にも重要な知見である.今後,大スケールの雲水量変動の効果をDNSに実装し,乱流混合過程の解析に取り組む.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,大スケールの乱流混合の影響が比較的強く現れると考えられる慣性小領域に着目し,雲水量変動スペクトルのスケール依存性を明らかにした.大規模DNSデータの解析において想定以上に計算時間を要したため,大スケールの雲水量変動の効果のDNSへの実装にやや遅延が生じたものの,乱流混合過程を解明するうえで重要な知見が得られ,論文投稿に至った.以上のように,多少計画を変更しながらも研究成果が着実に得られていることから,進捗状況区分を「(2)おおむね順調に進展している。」とした.
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今後の研究の推進方策 |
大スケール雲水量変動の効果をDNSに実装し,乱流混合過程の解析に取り組む.大スケール雲水量変動の効果の実装方法においては,大規模並列処理への対応や適切なパラメータ設定において課題が生じる可能性が考えられる.本研究では,複数の実装方法を簡易プログラムによって事前に検証することで,DNSコードへの効率的かつ安全な実装を進める.
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