研究課題/領域番号 |
23K03688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 由大 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60376514)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | アンモニア / エンジン / 着火燃焼 / 燃料 / 着火 / 燃焼 |
研究開始時の研究の概要 |
「着火温度が高く,層流燃焼速度が炭化水素の1/5程度しかないアンモニアを,自動車や発電用途に広く普及している比較的小型のレシプロエンジンで高効率に利用する方法はないか?」という課題について考える。本研究では,着火温度が高く,燃焼速度が遅いといったいわば燃焼しづらいアンモニアの特性を逆手にとり,高圧縮比化による熱効率向上と火炎伝播によらない次世代の燃焼方式への適用の可能性および課題について,実験および素反応解析によって検討する。
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研究実績の概要 |
自動車用動力源や分散型の発電システムにおいて,カーボンニュートラル実現に向けてカーボンフリーな燃料の利用技術を構築することは重要である。カーボンフリーな燃料の一つとしてアンモニアが挙げられる。アンモニアの層流燃焼速度は炭化水素燃料の1/5程度,自己着火温度は70Kほど高く,断熱火炎温度は低く,炭化水素,水素とも全く異なる基礎燃焼の特性を示す。このようなアンモニアをレシプロエンジンで使用することを考えると,自己着火温度が高いことからさらに高い圧縮比での運転の可能性を有し,一方で断熱火炎温度も低いことから高い圧縮比でも冷却損失が大きくならない可能性があり,圧縮自己着火燃焼の特性と相まって更なる高効率を期待できる。そこで,アンモニアのレシプロエンジンにおける圧縮自己着火燃焼特性を明らかにし,その利用可能性について検討することを本研究の目的としている。実機でのアンモニアを用いた燃焼実験が行えるようにエンジンベンチの整備,改造と試運転,および後に実験データを解釈するための素反応数値計算による計算データの蓄積を当初計画していた。実機については,過去の他燃料での実験データを整理,参考にして,燃料供給用のマスフローコントローラーの選定,発注までを行ったが,マスフローコントローラーの納期が長いことがあり,まだ試運転まで至ってはいない。素反応数値計算では,予混合気条件や運転条件が着火,燃焼に及ぼす影響を調査し,2023年11月に行われた燃焼シンポジウムでその成果について発表を行った。数値計算結果から圧縮着火は可能ではあるが,エンジンの回転速度が1500rpm程度でも130℃程度の初期温度が必要となったことから,その改善の可能性を検討すべく水素付加が着火時期に及ぼすの影響についても計算により調査した。なお,着火時期については,重回帰分析を用いたモデルで比較的簡便に精度よく表現できることも示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実機試験を行う環境の整備が少し遅れている。その原因としてもっとも影響が大きかったのが,アンモニア用マスフローコントローラーの準備である。新規購入のため仕様の検討などにも時間は要し,さらに納期も長かかったためである。一方,マスフローコントローラーの待ち時間なども発生したため,素反応数値計算を先に進めたこともあり,計算結果を見て水素添加の影響について調査する試みもできており,計算については計画よりも進んでいるといえる。成果としては実機整備,試運転の遅れの一方で計算の前倒しがあったが,これから実験試験を整備していくうえで,当初予定していなかった課題も出てくると思われるので,それへの対応も含めて少し遅れているの認識,評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画としては,2023年度は「圧縮比,吸気温度,回転数,当量比の影響調査」,2024年度は「水素等添加およびEGRの影響調査」,2025年度は「素反応計算による実機実験結果のメカニズム解釈」としており,基本的にはこの計画に沿って進めていく予定である。実機試験環境の整備については少し遅れがあるが,計算においては23年度内に24年度計画であった水素添加の影響なども前倒しで実施できていることから,24年度当初計画の実験を行うにあたっても,実験条件の設定などで水素添加の計算結果を参考にしながら進められると考えている。なお,使用予定のエンジンは,ここ数年稼働させていなかったこと,実験室の整理などで補器などを取り外していることなどがあることから,早急に再構築を行う予定である。
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