研究課題/領域番号 |
23K03689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
堀 琢磨 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50791513)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 熱伝導率 / ナノ多結晶構造 / ナノ多孔構造 / フォノン輸送 / ナノ多結晶体 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで,ナノ構造化により熱伝導性能が向上・発現することから,多様なナノ構造化材料が生成されている.そこで,そうしたナノ構造化材料のうちの1つである,ナノ多結晶中にさらに微小サイズのナノ結晶が埋め込まれた,複合ナノ構造化材料の熱伝導率を支配する構造因子を定量的に明らかにすることを目指す.具体的な方法として,フォノン輸送シミュレーションおよび粒子輸送理論を用いて個別の構造の支配因子を明らかにし,その後にそれらの統合を行う.これにより,ナノ多結晶粒径や埋め込み結晶数などの構造を決定する量が変わるたびに,測定や計算などの高コストな手法によって熱伝導率を逐一評価しなければならない現状から脱却する.
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研究実績の概要 |
ナノ多結晶体とナノ多孔体の複合構造の熱伝導率を決定する因子を明らかにすることを目的として,その第一段階として,それらの個別要素に焦点を当てて研究を行った. ナノスケールの結晶が組み合わさることでできたナノ多結晶体における熱伝導率支配因子の同定を行うため,遺伝的アルゴリズムを用いて,現実的な幅広い粒径分布を持つ多様な構造を作成した.また,構築したナノ多結晶体に対して,ナノ多結晶体におけるフォノンの平均自由行程の評価を行った.さらに第一原理計算から得られた物性値と組み合わせることにより,熱伝導率を求めた.以上によって,ナノ多結晶体における熱伝導率に対する粒径分布の影響を定量的に明らかにした. 同時に,ナノ多結晶体における熱伝導率を予測するための理論の開発のため,単純な幾何学的な構造からなるナノ多結晶体におけるフォノンの平均自由行程の解析を行った.この結果,解析対象とした限られた構造においては,フォノンの平均自由行程はナノ多結晶体の表面積と体積からなる単純な指標によって再現可能であることが明らかとなった. そのほかに,ナノスケールの空孔を多数有するナノ多孔体における熱伝導特性の解明のため,多様な空孔の位置分布を有するナノ多孔体の構造を作成した.さらに,これらの構造のフォノン輸送特性を求めることで,ナノ多孔体の空孔構造と熱伝導率の関係を明らかにした.また,この結果は,線形結合的な予測モデルによっては再現できないことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,初年度は研究の最終目標を達成するための基礎的な部分の完成を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実施内容を基に,複合ナノ構造化材料の熱伝導率支配因子の解明をする.すなわち,ナノ多結晶およびナノ多孔の複合構造を作成したうえで,フォノンの輸送シミュレーションを行うことで,フォノンの平均自由行程および熱伝導率の評価を行う.さらに,個別の構造における熱伝導率予測理論を完成させたうえで,複合構造の熱伝導率予測を達成するために,それらの融合を試みる.
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