研究課題/領域番号 |
23K03692
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西田 耕介 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (00397043)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 熱工学 / 燃料電池 / レーザ計測 / X線CT計測 / エントロピー生成解析 / 複合計測 / エントロピー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、レーザ分光やX線CT技術を用いた複合オペランド計測と多孔質電極内の反応輸送連成シミュレーションを一貫して行うことで、実作動状態PEFCの流路・電極内における全化学種の濃度、液水、温度分布を把握できるようにする。さらに分布データを活用して、反応・輸送各プロセスのエントロピー生成速度を局所的に解析し、エントロピー生成分布の3次元マッピングを行う。その上で、反応輸送場でのエネルギー損失の律速過程を特定し、エントロピー生成最小化のための新規電極流路構造を提案・設計する。構造パラメータは機械学習(ニューラルネットワーク)により最適化を図る。
|
研究実績の概要 |
固体高分子形燃料電池(PEFC)の更なる高効率化を図るには、ガス流路および多孔質電極から成る流動・反応場の従来デザインを改良し、反応輸送プロセスに起因するエネルギー損失を極限まで低減する必要がある。そこで本研究では、レーザ分光やX線CT技術を用いた複合オペランド計測と多孔質電極内の反応輸送連成シミュレーションを一貫して行うことで、実作動状態PEFCの流路・電極内における全化学種の濃度、液水、温度分布を把握できるようにする。さらに分布データを活用して、反応・輸送各プロセスのエントロピー生成速度を局所的に解析し、エントロピー生成分布の3次元マッピングを行う。その上で、反応輸送場でのエネルギー損失の律速過程を特定し、エントロピー生成最小化のための新規電極流路構造を提案・設計することを目的とする。 2023年度は、実作動状態の燃料電池(PEFC)において、ガス流路および多孔質電極内の水蒸気・酸素・液水分布を同時にモニタリングできるようにするため、レーザ吸収分光法、蛍光消光法、マイクロX線CT技術を導入した「燃料電池複合オペランド計測システム」の開発を進めた。ガス流路内の水蒸気濃度測定では、波長可変半導体レーザ吸収分光法(TDLAS法)を応用し、水蒸気濃度を0.1秒の高速応答かつ±0.2 mol%の精度でリアルタイム多点測定できるようにした。酸素濃度測定については、蛍光消光法を採用し、1秒の応答時間かつ±0.07 mol%の精度で酸素濃度を定量化できるようにした。また、マイクロフォーカスX線CT装置を活用することにより、多孔質電極内における液水挙動を非破壊でイメージングできるようにし、さらに、X線ラジオグラフィー法およびデジタル画像処理技術により、カソード電極内の液水飽和率分布の定量評価を行えるようにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、実際の燃料電池の内部流動現象を解明するため、「燃料電池複合オペランド計測システム」を開発することを目標とした。レーザ分光やX線CT技術の導入により、発電条件下において電池内部の水蒸気・酸素・液水分布をin-situ(その場)で直接計測することに成功した。 以上の理由から、当初の計画通りに研究が進捗できていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、オペランド計測で得られた実験データをベースとして、実際の多孔質構造を考慮したガス拡散電極内の反応・輸送現象を再現する3次元数理モデルを構築し、数値シミュレーションを援用することにより、測定が困難な燃料電池(PEFC)多孔質電極内のガス濃度・液水・温度分布を物理現象に則して明らかにする。 さらに、計測と数値計算で取得した電池内部の化学種濃度・液水・温度分布データを活用することにより、実作動環境下のPEFC内における反応・輸送各プロセスのエントロピー生成速度を局所的に算出し、反応輸送場に対してエントロピー生成分布の3次元マップを作成できるようにする。
|