研究課題/領域番号 |
23K03698
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長坂 雄次 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (40129573)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 熱物性 / レーザー計測技術 / 粘性率 / パルスレーザー粘度計 / 熱工学 / 計測技術 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノ・マイクロスケールサンプルの熱物性値(熱伝導率等)の新たな計測方法は,最近も数多く提案されている。確立された方法がある一方で,計測原理レベルの単純な理論式しか公表されていない場合や,実験条件を厳密に記述する理論的根拠が不明瞭な方法も散見される。新しい計測原理や計測技術が十分に練られていない段階で公表されることも多く,実験的に極めて巧妙な方法のように見えても,見逃している大きな系統的誤差要因がその測定データに含まれている場合もある。本研究は,測定量から熱物性値を算出するための詳細なWorking Equationを2つの測定方法について体系的に導出し,見逃している系統的誤差要因の検討を行う。
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研究実績の概要 |
(1)パルスレーザー粘度計のWorking Equation 測定サンプルの吸収が小さく,体積加熱が可能なパルスYAGレーザーを用いたパルスレーザー粘度計における,加熱による温度上昇と液体表面の変形と減衰振動を記述する熱伝導方程式とNavier-Stokes・熱弾性方程式を導出するための第一段階として,以下の成果を得た。 ・パルスYAGレーザー(パルス幅:6ns)による液体表面の加熱を熱伝導方程式に組み込む際にこれまではδ函数を用いていたが,より物理的に正しいexp函数の導入を検討した。ラプラス空間で得た解を数値逆ラプラス変換して両者を比較した結果,加熱時間(パルス幅)が10^(-8)秒以下であればδ函数の近似で問題がないことが明らかになった。結果として,物理的に近似に問題が無く,より計算が簡便になるδ函数を使用することを決定した。・Navier-Stokes Thermoelastic(NSTE)方程式の体積加熱による付加項について,物理現象から再検討を行い,α(吸収係数)* β(体積膨張率)* K(体積弾性率)*ΔT(温度上昇)の項は,加熱される体積要素に対して体積力(外力)のように作用していることが明らかになった。従ってこの項を「パルスレーザー体積加熱誘起体積力項」と呼ぶこととした。・NSTE方程式と気液境界条件に関して,上記の外力項が指数関数的(時定数τ_PLVと仮定し)に作用しているとして組込み,解くべき方程式と境界条件を確定した。 (2)ソレ―強制レイリー散乱法に関するWorking Equationの検討 当初の計画には無かったが,パルスレーザー粘度計のWorking Equationを検討していくうちに,パルスレーザーの二光束干渉を利用しているソレ―強制レイリー散乱法に関してアナロジカルな検討の可能性に気付き,検討を開始した。レヴュー論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルスレーザー粘度計のWorking Eq.の基本方程式と境界条件を確定することが出来,解を得る前段階まで研究は進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)パルスレーザー粘度計のWorking Equation 今年度得られた微分方程式を解析的に解く。基本的にはラプラス変換と変数分離よるラプラス空間上の解を,数値逆ラプラス変換する手順を採用する。得られた解と,すでに得られている実験波形(トルエン,水など)と比較して解の正しさを検証する。試行錯誤によって正しい解が得られれば,実験データを逆問題解析するプログラムを開発する。理想条件からの乖離による誤差評価と補正などを含めてWorking Equationを完成させる。 (2)ソレ―強制レイリー散乱法に関するWorking Equationの検討 当初の計画には無く物質拡散係数測定法であるが,本研究の手法を用いてソレ―強制レイリー散乱法のWorking Equation(未開発)検討を進める。来年度中にはレヴュー論文にまとめる。
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