研究課題/領域番号 |
23K03711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鳥山 孝司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50313789)
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研究分担者 |
多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70251650)
舩谷 俊平 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50607588)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 温度計測 / 温度分解能 / 不確かさ解析 / 汎用デジタルカメラ / 青色LED光源 / 感温液晶 / 温度分布計測 / RGBカメラ / ロバスト / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,短波長の可視光に対してRGBカメラを利用することで,より簡便で高精度な温度計測技術に発展させることを試みる.まず始めに,感温液晶シートによる表面温度計測技術の開発に取り組み,その技術の確立後,感温液晶微粒子を用いた液体内温度計測法への拡張を行う.散乱光の温度への換算と画像処理プロセスでは,温度換算用データベースの構築と計測のエラー要因を前処理で除去する仕組みに対して深層学習を適用し,高速・高精度で、かつ計測エラーの少ないロバストな温度計測法の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
当該年度では、青色LEDを照射光源とした際の感温液晶からの散乱光を汎用のデジタルカメラにて撮影してそのRGB値と温度との関係を詳細に調べた。評価を行った温度範囲は10℃~60℃であり、使用した感温液晶は呈色温度範囲が10℃~20℃のコレステリック系のものである。その結果、汎用デジタルカメラにおいてもカメラの感度特性からRGB値それぞれ温度に特有な値が検出され、相対輝度値及びHSV変換した際のHS値の両方で10℃~60℃の温度範囲で温度検定ができることが明らかとなった。しかしながら、使用した青色LED光源の波長(420nm)の場合、呈色温度範囲の上限の温度のおよそ20℃高い温度で散乱光強度の値が最大値を取るという特性があり、その温度付近の温度分解能が著しく悪化するということが確認された。なお、計測可能温度範囲及び計測の不確かさには相対輝度とHS値による温度検定で大きな差は確認されなかった。したがって、十分な温度分解能を得られる温度範囲としては、10℃~40℃の範囲に限定されるということが明らかとなった。 分光器による散乱光強度の評価の結果、照明光源の波長が長くなると、散乱光強度の値が最大値を取る温度が低温側に移動するとともに、単位温度当たりの散乱光強度の変化量も大きくなることが確認された。したがって、照明光源の波長をやや長くすることでより高い温度分解能を実現するとともに、420nmの光源では計測の難しい温度域の計測の可能性を見出した。検討の結果、440nm程度の照明光源を使用するのが適切ではと考えられ、これからの課題となっている。 本手法を温度分布計測に拡張し、温度分布のある対象物の温度測定も可能となっている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、青色LED光源を照射した際の感温液晶シートからの散乱光強度を汎用デジタルカメラで撮影し、得られたRGB値と温度との関係を整理するとともに、より温度計測に適した光源の波長域を明らかにすることを目的としていた。実際には、420nmの波長のみでの評価のみであったが、広い温度範囲で計測できることや、温度分解能や不確かさ解析の評価も実施しており、特に温度分解能が悪くなる温度域と波長の特性の関係を明らかにできている。その結果、もう少し波長の長い光源を用いれば、計測可能温度範囲や温度分解能、不確かさなどが改善できる可能性も見出している。 さらには、温度分布を伴う温度計測にも取り組めているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で得られた結果から、440nm付近のLED光源を用いると計測可能温度範囲などが大幅に改善する可能性が見いだせているため、まずはその評価を感温液晶シートを用いた実験にて進めていくことを予定している。その光源での計測能力を十分評価したうえで、もともとの予定であった液体内温度分布の計測に繋げていくことになる。 感温液晶微粒子を用いた研究では、散乱光強度をある程度揃えるため、その微粒子のサイズも揃える必要がある。そのため、いくつかの目のサイズの篩を選定し、どの粒子径を用いるのが温度計測に対して適切であるかの評価を進めていく予定である。
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