研究課題/領域番号 |
23K03720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
川南 剛 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20281793)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 磁気冷凍法 / ヒートポンプ / ガス液化 / 磁気冷凍 / 再液化 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題は,液化天然ガスLNG船や液化水素LH2船による液化ガスの搬送時および貯蔵時において発生するボイルオフガス(Boil Off Gas; BOG)の再液化プロセスの効率化およびエネルギー供給システムとしての高エクセルギー化を目指し,これまでにない磁気冷凍技術による液化用冷凍装置を実現させるため,磁気冷凍要素技術の評価,冷熱生成挙動の解明,およびシステム予測を目的として研究を行うものである.本研究期間内における具体的な検討事項は,(1)磁気冷凍装置の製作および基本特性の実験,(2)磁気熱量効果材料の探索および成型技術の確立,(3)多段構造AMR磁気冷凍装置のシステム予測,である.
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研究実績の概要 |
本申請課題は,液化天然ガスLNG船や液化水素LH2船による液化ガスの搬送時および貯蔵時において発生するボイルオフガス(Boil Off Gas; BOG)の再液化プロセスの効率化およびエネルギー供給システムとしての高エクセルギー化を目指し,これまでにない磁気冷凍技術による液化用冷凍装置を実現させるため,磁気冷凍要素技術の評価,冷熱生成挙動の解明,およびシステム予測を目的として研究を行うものである.2023年度の研究内容および実績の概要を以下に述べる. (1)磁気冷凍装置の製作および基本特性の実験 磁気冷凍技術において温度差を生成するために用いられる蓄熱型磁気再生器(Active Magnetic Regenerator; AMR,以後AMRと表記)は,磁気熱量効果材料を加工・成形した熱交換器である.AMR内の流れは,温度変化を繰り返す磁気熱量効果材料と往復流れの間の複雑な伝熱および流動様式となる.本年度はず,磁場の強さを永久磁石レベルに抑えたラボラトリーレベルの装置を製作し,基本的な蓄熱・再生冷凍サイクルの特性解明を行った.その結果,本研究で構築した冷凍装置は,想定の温度領域である-25℃レベルの温度域において冷凍機として機能できることを確認した. (2)磁気熱量効果材料の探索 本課題では,稼働させる温度域が常温に比べかなり低くなるため,その温度域で磁気熱量効果を発現する磁気熱量効果材料の探索が必要となる.本研究においては,La系磁気熱量効果材料をベースとした低温度域で有効に機能する磁気熱量効果材料の探索を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,当初の計画どおりおおむね順調に進んでいる部分と,当初の計画より遅れている部分がある.順調に進んでいる部分は,実験装置の構築およびその特製評価であり,低温域で稼働する磁気冷凍装装置の評価が可能となった.本実験装置は,システム全体を真空引きすることにより高断熱条件を実現することができるものである.一方で,最終的に想定されるボイルオフガスの液化温度域にシステム全体を維持するには,真空引きだけでは実現が難しく,追加の低温維持機構が必要であることが今後解決すべき課題として残されている.また空間的な制約から磁気回路を大きくすることができず,磁気熱量効果材料に付与する磁束密度の大きさが想定より小さくならざるを得なかった.そのため,当初想定した冷凍性能を下回る結果となった.この点は,次年度において磁気回路を再設計,再構成することにより解決を図る計画である. 稼働温度範囲に適した磁気熱量効果材料の探索については,次年度も引き続き継続するが,現時点において任意のキュリー点の材料設計およびその製作は精度良く実現されており,この点においては当初計画通りに進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
現状で当初の予定から遅れている項目については,早急に対処計画の策定,実験装置の改良,および確認実験を行い,当初の研究計画および目的を達成するための作業を進める予定である.研究計画そのものに変更はないが,改良した実験装置の稼働およびその特性を詳細に確認するために,常温におけるガス液化の検証実験を追加の実験として行う予定である.この実験により,液化槽に貯留される液体量の計測手段および計測精度を向上させ,低温域での実験に活用できるようにする.なお,磁気回路の改良についてはすでに着手しており,現在の装置の0.4テスラの2倍程度の磁場の強さを発生する磁気回路が構築される予定である.
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