研究課題/領域番号 |
23K03727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
浅野 文彦 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (70415066)
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研究分担者 |
徳田 功 立命館大学, 理工学部, 教授 (00261389)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 柔軟構造 / テンセグリティ / 歩容生成 / 脚移動ロボット / 非線形力学 |
研究開始時の研究の概要 |
複数台の剛体フレームと粘弾性要素から形成される柔軟な身体をもち、外力や移動環境に応じて身体形状を自在に変形・復元できる高性能かつ適応的な脚移動ロボットの設計論を構築する。リムレスホイール型モデルの基本特性と最適条件を綿密に理解し、目的に応じた自由度や駆動力の追加を通して、高度な脚移動モデルを創出する。またロボットの縮小による軟組織としての応用、非接触力を用いた身体形成などの基礎的検討も行う。
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研究実績の概要 |
剛体フレームと粘弾性要素の最適融合に基づく柔軟な脚移動ロボットの設計論構築に関して、2023年度は主に以下の成果を得た。 4本の剛体フレームと8本の粘弾性要素から形成される柔軟なリムレスホイール(以下RW)の理論的研究を推進した。粘弾性要素の取付箇所を各剛体フレーム上の内側と外側に設置した12自由度の数学モデル、およびその受動歩行解析用数値シミュレータを開発した。粘弾性要素の一端をフレーム上の内側に、もう一端を隣接するフレーム上の外側に取り付けることで、8角形の辺上に配置したモデルとは大きく異なる歩容が生成されることを数値的に確認した。後脚の離地の成否を考慮した詳細な運動解析を通して、安定歩容生成の可能性が向上する配置条件を明らかにした。 2本の剛体フレームとワイヤーから形成されるX字型2脚ロボットの数学モデルを構築し、ワイヤー駆動に基づく車輪型歩容生成法の検討を行った。また理論検証用実験機の設計開発を行い、実機実現を通して理論的結果の妥当性を確認した。 2本の剛体フレームと4本の粘弾性要素から形成される脊椎を用いて2台の8脚RWを結合した連結型RWの数学モデルを構築し、その受動歩行解析用数値シミュレータを開発した。更に3Dプリンタを用いて実験機を試作し、受動歩行の実験データの取得および理論的結果との比較を行った。 2本の剛体フレームとその間に挟まれたリアクションホイールから形成される3自由度のX字型2脚ロボットを導入し、その水平面上の定常車輪型歩容生成理論の構築を行った。ゼロダイナミクスとして動作するリアクションホイールの本質的な不安定性を解消すべく、伸縮脚をもつX字型2脚ロボットを新たに導入し、衝突姿勢の前後非対称化に基づく水平面上の歩容生成理論の構築を行った。更にこのロボットを構成単位とした分離・合体による機能拡張が可能な多機能な脚移動ロボットシステムの設計開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、初年度中に柔軟な身体をもつRW型およびX字型の脚移動ロボットの数学モデルの構築、および運動解析用数値シミュレータの開発を行い、詳細な解析を通して多くの新しい知見を得ることができた。また柔軟な脊椎をもつ連結型RW、および伸縮脚をもつX字型2脚ロボットに関しては、理論検証用実験システムを設計開発し、前者については基礎的な実験データの取得までを行うことができた。主要な成果は複数件の国際会議論文として採択され、2024年中に発表を予定している。以上より、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
分離・合体が可能な脚移動ロボットシステムの実験機を調査した結果、部品の交換や再設計が必要なレベルの不具合が幾つか見付かった。まずはこれらを解消し、合体した状態で安定な受動歩行が可能であることを実験的に確認する。これに並行して電装系と制御系の開発も推進し、2024年度中に、単体あるいは合体した状態で水平面上の能動歩行を実現する。更に走行運動を目指した機能拡張についても、理論と実験の両面から考察を進めていく。 柔軟なRWと連結型RWに関しては、剛体フレームと粘弾性要素の最適な物理パラメータの設計論を確立すべく、運動方程式がもつ意味の理解を基本として今後も理論研究を中心に継続していく。しかし必要と判断した場合には、数式処理システムや数値解析ソフトウェアのツールを利用することも、設計論の一部として採り入れていく可能性がある。 上記以外にも、柔軟な身体をもつ脚移動ロボットの新しい着想が得られた場合には、本プロジェクトの研究課題として加え、並行して取り組む方針である。
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