研究課題/領域番号 |
23K03740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原田 宏幸 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90301936)
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研究分担者 |
伊藤 壮生 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究職員 (60845668)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 形状記憶合金 / SMA / アクチュエータ / 音声 / 音響計測 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに,高速に駆動させることが困難であるとされてきた形状記憶合金(SMA)アクチュエータを音声周波数帯域で駆動させ,音を発生させる手法を開発してきた.本研究では,性質の異なる複数のSMA アクチュエータを組み合わせることで,生成音の音域を広げるとともに音質を向上させることを目指している.音声生成デバイスの構造を検討し,また複雑化するシステムに対し,機械学習による最適駆動条件の獲得手法の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
形状記憶合金(SMA)アクチュエータを電力フィードバック制御によって駆動し,SMAに接続された振動膜が発生する音を観測するための実験環境の構築を行った.2023年度は特に測定環境の整備に重点を置いた.導入を予定していた音響解析システムについては,既存システムのアップグレードを実施し,新たに,現有のものよりも測定帯域の広い測定用マイクロフォンを導入した.また,音響解析システムをPC上のプログラムから制御できるよう環境を整えた.これにより,今後の実験における測定の自動化および効率化が期待できる. 種類の異なる複数のSMAアクチュエータによって駆動する音の生成機構について検討を行い,装置を試作して検証を行った.具体的には,矩形の紙製振動膜を弓,複数のSMAワイヤを弦のように用い,並列に配置された複数のSMAによって振動膜を湾曲させた構造とした.SMAの収縮力と振動膜の復元力によりSMAが伸縮し,振動膜から音が発生する.検証の結果,作動させるSMAを切り替えることによって,入力周波数に対する発生音の特性が変化することが示された.また,入力信号の周波数に応じて駆動するSMAを切り替える分業方式によって,広い周波数帯域に渡って,音量を向上させ得る可能性が示唆された.ただし,実験装置の加工精度やSMAの取付け精度,経時劣化による影響が大きいと考えられるため,装置構造および実験結果については更なる検討・検証が必要である.並行して,入力周波数に応じて入力波形を変化させることによる音量,音質の向上の可能性について検討したところ,強化学習を用いて最適な入力波形を生成可能であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初計画に従って実験環境の整備を行うことができた.また,音の生成機構についての検討を行うことができた.学習的手法については,具体的な適用方針の決定には至っていないが,今後の方針について,研究代表者,研究分担者,研究協力者の間で議論を重ねることができている.
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今後の研究の推進方策 |
音の生成機構について,本年度に検討した,一つの振動膜に複数のSMAアクチュエータを並列に接続する方式は,アクチュエータによる運動が相互に干渉することによる影響を考慮する必要があり,このことが検証を難しくする要素になりうることが判明した.従って,SMAアクチュエータを直列に配置する方法や,複数の振動膜を独立に駆動する方式についても検討し,最も適切な実験機構の構築を目指す.また,学習的なSMAアクチュエータの駆動手法について慎重に検討を進める.本年度の実験結果では,入力周波数ごとにSMAアクチュエータを分業させることで当初の目的を満たす可能性もあることが示唆された. 本結果も考慮して最適な駆動方法の確立を目指す.
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