研究課題/領域番号 |
23K03741
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
長 真啓 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (30735105)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 磁気浮上モータ / 低剛性 / 超小型 / 血液ポンプ / 小児用人工心臓 / 加振 / 周波数応答 / 粘性 / 補助人工心臓 / 小児 / インペラダイナミクス / 多自由度制御 |
研究開始時の研究の概要 |
超小型・低剛性磁気浮上系における各制御軸の安定性が他の制御軸とどのように相互影響を及ぼしあうかを解明するとともに、従来の制御軸ごとに独立した制御系設計ではなく、全制御軸のダイナミクス特性を俯瞰した総合的な制御系設計により、どこまで低剛性磁気浮上系の磁気浮上安定性を高めることができるかを追求する。そのために、各制御軸の制御ゲイン変更による磁気浮上系剛性の調整、外乱印加時に磁気浮上系のパラメータの違いが他軸の動特性に与える影響の検証、制御軸間の影響を考慮した磁気浮上系の運動モデル導出、全制御軸のダイナミクス特性を総合した磁気浮上制御系での磁気支持安定性の検証を行う。
|
研究実績の概要 |
当初計画では,各制御軸の制御ゲイン変更により磁気浮上系の剛性を調整し,磁気浮上系のパラメータの違いが他軸の動特性にどのように影響を与えるか検証することを目的とした.また,加振機による外乱印加,FFTアナライザによるインペラ位置の正弦スイープを行い,強制外乱によるインペラ姿勢変化に起因する制御軸間の相互干渉の知見を獲得する.衰係数の変更が必要となる際には,流体粘性の変更,もしくはPID制御器の微分制御ゲインを調整して,異なる減衰係数の磁気浮上系を再現することとした.これに対し,ポンプ駆動時に軸方向加振した際の,加振軸以外の制御軸あるいは能動支持軸がどのような振動特性を示すかを観察した.加振周波数が80 Hzの時に浮上インペラの軸方向振動振幅が最大となった.また,加振力に比例して軸方向振動振幅が増加した.浮上インペラの傾き角度および径方向位置の振動振幅は,加振力の増加に伴い増加した.軸方向位置制御系の共振点において,傾き角度および径方向位置の振動振幅は他の周波数と比較してわずかに増加傾向となった.また,傾き角度および径方向位置の振動振幅は40 Hz付近で増加傾向を示した.この周波数は,インペラ径方向の受動剛性によるものであると推察する.以上の結果から,加振周波数が制御軸あるいは能動支持軸の共振周波数と一致する際には,他軸との干渉が起こる可能性が示唆された.流体粘度を変更(水,10-50 wt%グリセリン水溶液)してポンプ駆動時の浮上インペラの振動特性を評価した.本試験では,定常駆動においては水においても粘性減衰が十分に働くため,流体粘度を変更したことによる振動特性の大きな差は認められなかった.一方,浮上インペラの軸方向位置制御系についての周波数応答解析を実施し際には,入力外乱周波数が共振周波数となるときに,流体粘度が高いほど振動振幅が抑制された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿い,磁気浮上血液ポンプへの外乱印加,FFTアナライザによるインペラ位置の制限はスイープを行った際に,浮上インペラ姿勢5軸にわたり振動特性を評価している.がイラン周波数により制御軸間の干渉の可能性が示されており,今後この知見を詳細に検証することで,次年度以降に実施する磁気浮上システムの運動モデル構築につなげることができる.一方,加振方向が軸方向のみであること,制御系のパラメータ変更を行っていないことから,更なる調査が必要である.
|
今後の研究の推進方策 |
磁気浮上制御系のパラメータを変更した際の,浮上インペラ姿勢の各軸に対する振動特性の変化をより詳細に検証する必要がある.また,加振方向を変更した際の浮上インペラの振動特性を評価する必要がある.ここで得たデータをもとに,磁気浮上系の運動モデルを構築する.これにより制御軸間の干渉をシミュレーション可能かを検証する.
|