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関節間の独立と協調が共生する蛇型ロボットによる瓦礫内推進

研究課題

研究課題/領域番号 23K03770
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
研究機関茨城大学

研究代表者

福岡 泰宏  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40418679)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード蛇型ロボット / ロボット
研究開始時の研究の概要

本研究は,瓦礫内のような複雑な狭路を蛇行推進できる蛇型ロボットを開発し,推進のために有効な手法を提案することを目的とする.そして,瓦礫を模した3次元狭路内を推進させ,手法の有効性を実証することをめざす.
本ロボットの各関節は神経振動子と呼ばれる運動リズム生成回路により振動させられるが,それらの関節間で信号伝達は行われないことが特徴である.それにもかかわらず協調的な蛇行推進が可能である.
本研究では,ヨー軸周り,ピッチ軸周りに回転する関節を持つ蛇型ロボットを開発し,それらを独立した神経振動子で駆動することで入り組んだ狭路を自律的に推進させることを目標としている.

研究実績の概要

蛇は体を巻き付けての木登りや細い体を生かした閉路の推進など多様な環境で推進可能であるため,蛇型ロボットの推進に関わる研究が何十年も前から盛んに行われている.しかし,瓦礫内など不規則な狭い隙間を蛇のように推進させる運動の実現は現在の蛇型ロボットにおいては未だ困難である.そのため,本研究では,複雑な狭路を蛇行推進できる蛇型ロボットを開発し,推進のために有効な手法を提案することを目的としている.
これまでは,6体節5関節の比較的低自由度な蛇型ロボット,および蛇型シミュレーションモデルの個々の関節を独立した神経振動子と呼ばれる運動のリズムを生成する神経回路モデルにより振動させることで多数の杭が無作為に並べられた狭路を自律的に推進させることに成功していたが,より高い自由度をロボットに持たせることで,より複雑な狭路を推進させることができると考えた.そこで,令和5年度においては,これまでに提案していた制御手法をより自由度の高い多関節蛇型シミュレーションモデルに適用し,まずは滑らかな蛇行運動が可能であるかを検証した.その結果,関節数が20を超えるような多関節蛇モデルでは滑らかな蛇行運動に収束させることが難しかったため,弾性要素を導入する,新たな神経結合を模索するなどした.結果として,まだ不完全ではあるが,安定した蛇行が可能な結合ルールはある程度見つかった.
また,複雑な狭路に入り込むためには蛇ロボットの機構的な工夫が不可欠であるため,外圧によって柔軟に変形する表皮機構を持つ2体節1関節のくねり推進ロボットを蛇型ロボットへの拡張前のテスト機として製作し,平地の推進,および狭路の推進が可能であるかどうかを実験により検証した.結果として,部品の故障率の高さやメンテナンスの難しさなど改良の余地は多くあるものの,多数の杭が無作為に並べたら狭路において体を縮めながら推進できることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3次元環境で有効に働かせるには既存の蛇型ロボットの大幅な改良が必要である.これまでに開発した蛇型ロボットの機構的特徴は,前進する場合のみに回転する一方向回転受動車輪を腹部と体側面に取り付けていたことであり,結果として前方向にはスムーズに滑って,後ろ方向には引っかかることで底面や側面の障害物に体を引っかけることで前進できていた.しかし,これまでは体を覆う一方向回転車輪が少なく,柔軟性にも乏しかったため,路面や障害物と身体が十分接触しないことがあった.よって,さらに複雑な狭路ではより多くの一方向回転受動車輪で全身を覆うような表皮機構が必要となると考えられた.
そこで,法線方向に受動的に動く部材の先に一方向回転受動車輪をつけた鱗のような柔軟駆動機構で蛇型ロボットの本体を覆うことで,蛇のように柔軟に体を収縮させることが可能な胴体を製作した.これを1体節とし,2体節をヨー軸周りに回転する関節で結合し,関節をくねり運動させることで,多数の杭が無作為に並ぶ狭路において,従来よりも体を収縮させながら前進することが可能であることを実験により確認した.
また,シミュレーションにおいては,従来よりも関節数を増やすと,滑らかな蛇行運動が実現できないという当初予期していいなかった現象を示したが,神経結合関係の工夫により対策できる傾向がみられている.
以上の理由から,概ね計画通り順調に研究は進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

現在,一方向回転受動車輪を持つ鱗のような部材で身をまとった蛇型ロボットの一部であるくねり推進ロボットを用いて,様々な狭路において推進が可能であるか,従来よりも優れた推進性能を備えているかを確認している.改良すべき問題点としては,鱗を模した可動部の部品点数が多く,また可動部の強度が若干弱いため,実験を何度か行うと部品が外れたり,ネジが緩んだりするという問題がある.これについて,部材の幅を広げるなどすることで強度を増すこと,強度のある異なる形状に変更することが望まれる.また,新しく開発した体節は鱗の部材を持つアルミの輪がロール軸周りにも受動的に回転するという特殊な表皮機構を備えているため,ロボット内部の修理や改良をするときに表皮機構を一度外して行わなければならないなどメンテナンス性にも問題がある.これらを改善するための機構設計の改良,および再製作を実施する予定である.そして,強度,メンテナンス性,そして狭路の推進性能に問題ないことが確認されたら,現在の2体節+1関節からなるくねり推進ロボットを複数関節を持つロボットに拡張する予定である.そして,ひとまずは多数の杭が無作為に並ぶ狭路において,従来のロボットで得られていた結果以上の推進性能で推進可能なことを実証する.
また,蛇型ロボットシミュレーションにおいては,20関節以上などの複数関節を持つ蛇型モデルでも,従来の関節ごとに独立した神経振動子を用いて滑らかに蛇行推進させることが可能な手法を引き続き探索する予定である.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanical designs for field undulatory locomotion by a wheeled snake-like robot with decoupled neural oscillators2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Fukuoka, K. Otaka, R. Takeuchi, K. Shigemori, K. Inoue
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Robotics

      巻: 39 号: 2 ページ: 959-977

    • DOI

      10.1109/tro.2022.3226364

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 蛇型シミュレーションモデルにおける運動軌跡の調整2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤,福岡
    • 学会等名
      第31回 茨城支所 研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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