研究課題/領域番号 |
23K03782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
鄭 聖熹 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (50422176)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 歩行訓練器 / サイバーフィジカル / 協調安全 / Cooperative Safety / Cyber Physical System / Gait Rehabilitation / Assistive Walker |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究では、実世界とサイバー空間が連携する歩行訓練システムにおける協調安全の実装技術の開発を目的とする。そのために、転倒事象に関わるリスクアセスメントに基づいて人・ロボット・環境のリスクパラメータを抽出し、実世界での計測及びサイバー空間での蓄積、知的処理によるリスクの推定、低減制御による実世界の駆動まで、一連の協調安全の技術的実装手法を開発する。これにより、既存の安全技術に相反しない、安全性と訓練効率の両立が可能なCPS歩行訓練における協調安全の技術的実装基盤の確立が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、人とロボットが物理的に常時接触する歩行訓練に焦点をおき、実世界とサイバー空間が連携する歩行訓練システムにおける協調安全の実装技術の開発を目的とする。本年度は歩行訓練において最もリスクが高いと予想される転倒事象に関わるリスクアセスメントから人・ロボット・環境のリスクパラメータの抽出を目標とした。 リスクアセスメントを実施するために、まず、本研究で対象としている歩行訓練器の制限仕様(基本仕様、使用上の制限、時間上の制限、空間上の制限)及び危害の対象者を指定した。ロボティック歩行訓練器は、本体フレームを前後左右の4輪で支える車輪構造であり、フレーム上部には患者の上肢をサポートするアームレストを持つもととした。また、前輪は自在回転式キャスター,後輪はアクチュエータを内装した駆動輪であり、アームレストと本体フレームの間には、患者の上肢荷重を計測する装置が搭載されている。さらに、アームフレームの下方のフレームには、歩行を介助するためのアームが左右2本搭載されており、アームレストは本体フレームに搭載されたリフト機構より高さ調整ができる。同歩行訓練器の通常モードでの基本的な使用手順を定めた。 上記の歩行訓練器に対し、ユーザが歩行器を使用する際に転倒して傷害につながる危険源を同定した。歩行器歩行における転倒事例に関しては、公益財団テクノエイドがWEBで公表している歩行器使用での転倒事象を参考に,危険源と危険事象、危険源の属性をまとめ、人・ロボット・環境に属する危険源が含まれていることを確認した。特に、床下の段差や敷居、マット、カーペット等の環境により転倒が発生するケースが多いことがわかった。 本年度では、転倒事象に関するリスクアセスメントを進めると同時に、対象とする歩行訓練器の介助アームの設計も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歩行訓練器のリスクアセスメントに関する情報収集が予定より遅れ、リスクパラメータの抽出及びその計測手法の確立という当初の目標から遅れている。現在、リスクアセスメントが概ね終了しており、次年度に遅れている部分も含めて進めることができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、転倒に関わる危険事象をリスクアセスメントから整理し、各危険事象から人・ロボット・環境のリスクパラメータを抽出する。その後、リスク評価基準の中で、危害の回避可能性(A)と危険事象の発生確率(O)を各パラメータに関係づけ、これらのリスクパラメータをサイバー空間に転送するために、各パラメータを計測するための計測手法も体系化を行う。 次に、リスク低減制御に用いるリスクパラメータの物理量の計算方法を明らかにする。まず、保有する歩行訓練器を用いた転倒動作実験から計測システムによりリスクパラメータのデータセットを作成し、機械学習により予測モデルを作成する。予測正解率が低い場合は、深層学習等複数のアルゴリズムを試し、最も正解率の良いアルゴリズムで学習モデルを作成する。学習済みモデルを用いて回避可能性(A)と発生確率(O)を求め、リスクを予測後、探索的手法を用いてリスクが現状より小さくなるリスクパラメータの組み合わせを求める予定である。
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