研究課題/領域番号 |
23K03785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
三浦 健司 岩手大学, 理工学部, 准教授 (90361196)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 三次元点群 / LiDAR / 着果位置 / 開放終端同軸プローブ / 誘電率分布 / 非破壊検査 / スマート農業 / 熟期判定 / 表皮深さ |
研究開始時の研究の概要 |
補助事業期間の最初の2年間で,衛星測位システムによるリンゴ樹体内高精度位置情報と果肉誘電率の関係ならびに生育過程における果肉内誘電率差の変化の明確化,2周波数の反射波を用いた誘電率差検出アルゴリズムの確立,開放終端同軸プローブ測定系構築とプローブ―果実間空隙の影響調査を同時進行で行い,実証実験の準備を行う.最終年度に実際の果実を用いた実証実験(同一個体,同一箇所からの反射波から誘電率差とともに生育状況を把握)とその精度検証を行うことでデュアルバンド(2周波数)反射波測定による熟期判定法を確立する.
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研究実績の概要 |
課題開始年度から2か年の計画で,①複数品種のリンゴにおける果肉内誘電率分布計測,②果肉内誘電率差の検出アルゴリズムの開発(平面多層誘電体モデル),③開放終端同軸プローブ測定系構築とプローブ-果実間空隙の影響調査,の3テーマを並行して遂行した。 ①については,2023年度に購入した小径の開放終端同軸プローブを用いて,リンゴ1品種(はるか)の果肉比誘電率を果皮からの深さに対して測定した。代表者による過去の手法(果肉を環状型に加工し同軸管法で測定)よりも深さ方向の分解能が2mm以上から1.0~1.5mmに向上し,高精度な誘電率分布計測が可能であることを示した。また,生育過程における誘電率分布の変化も同手法で評価が円滑に行えることを確認した。さらに,果実を含む樹体の三次元点群をLiDAR技術により取得し解析することで,樹体内着果位置を果実1つ分以内の精度で測定できることを明らかにした。 ②については,高含水物質を仮定した異なる誘電率の平面2層体に対する開放終端同軸プローブの反射特性を電磁界シミュレータにより求めたところ,平面2層体の層厚をパラメータに計算することで,同軸プローブ径に依存する誘電率計測深さの推定が可能であることを示し,果肉内誘電率差の検出アルゴリズム開発のための基礎検討を終えた。 ③については,球状誘電体に対する開放終端同軸プローブの反射特性計算を電磁界シミュレータを用いて実施した。平面誘電体の反射特性(S11周波数依存性)に類似しているものの,空隙部からの放射が原因と思われる特定周波数における反射量減少(ディップ)が存在する球形特有の特性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の上記3テーマについては,凍霜害が原因のリンゴの不作に見舞われたものの,一品種において誘電率分布計測を高精度に測定することと,三次元点群による着果位置測定に成功しており,順調に推移していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間2年目においては複数品種のリンゴに対して生育過程を通じて果肉誘電率分布変化を測定し,植物生理学,電磁材料工学,ならびに電磁波工学分野にまたがる学術的知見を得て熟期判定に関する指標を誘電率差に着目して得ることを目的としている。また,初年度の研究を通じて,果肉深部まで測定可能な同軸プローブ条件の明確化が必要であり,これについても検討を加える予定である。
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