研究課題/領域番号 |
23K03788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
金子 裕良 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10233892)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 非接触給電 / 電動二輪車 / 中継コイル / EV用送電装置との共用化 |
研究開始時の研究の概要 |
バッテリの取外しが不要で漏電の危険性もなく自動充電が可能な非接触給電技術は有用であるが、二輪車車体には受電装置を取付けるスペースがなく標準化が進んでいる電気自動車(EV)用の非接触送電装置をそのまま応用することは困難である。これに対し、地面と接する車輪部分から給電する中継コイル式磁界結合方式は、受電側コイルの小型化が可能で、中継コイル形状と配置を最適化し送電コイルとの結合を上げることができれば、EV用送電コイルから給電することが可能となる。本研究の目的は、駐輪ラックに取付け可能な二輪専用送電コイルとEV用送電コイルの双方と結合可能な中継コイル式磁界結合方式の検討と実用化に関する研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、駐輪ラックに取付け可能な二輪専用送電コイルとEV用送電コイルの双方と結合可能な中継コイル式磁界結合方式の電動二輪車用非接触給電システムの実用化である。1年目の令和5年度は主に、駐輪ラックに設置可能な小型送電コイルとEV 用非接触送電コイルと共用化かつ高効率給電可能な車輪中継コイルの材質・構造・形状・配置を検討した。 まず、米国自動車技術会SAE準拠のEV向けワイヤレス給電コイル(7.7kW用および11.1kW用)とその給電調整回路を作製し、これに装着可能な中継コイルを電磁界シミュレーション解析でいくつか検討した。複数のケースでEVと電動二輪車双方に高効率で給電可能であることがわかり、実際に電動二輪車に給電するための中継コイルを作製し、シミュレーション解析結果の妥当性を確認している。 次に、上記システムの全体的な給電効率を向上させるため、車輪径が異なる中継コイルを用いた場合の自転車車載側受電コイルの最適設計方法について理論的な検討を行った。この結果、異なる径の中継コイルを用いた場合でも、バッテリの充電状態に応じて定電圧/定電流の切替可能な受電コイルパラメータの条件を明確にすることができ、車輪中継コイル付ワイヤレス給電システム設計に役立つことを示せた。本成果は電気学会産業応用部門大会で発表した。 また、塩分を含む水中も想定した中継コイル式磁界結合方式の数値解析を行い、理論解析モデルを導出するための基礎的な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の実施計画である駐輪ラックに設置可能な小型送電コイルとEV 用非接触送電コイルと共用化かつ高効率給電可能な車輪中継コイルの材質・構造・形状の検討は順調に進んでいる。 特に製作したSAE準拠のEV向けワイヤレス給電コイルを用いて、装着可能な中継コイルの形状を電磁界シミュレーション解析で検討し、EVと電動二輪車双方に高効率で給電可能なコイル構造と形状およびその配置について明らかにすることができた。また、給電効率を向上させるため車輪径が異なる中継コイルを用いた場合の自転車車載側受電コイルの最適設計方法について理論的な検討を行い、高効率となるコイルパラメータの条件も求めることができた。これらの成果は関係学会に発表済みあるいは予定である。しかし、フェライトなどコイル以外の材質や配置については十分検討されておらず、今後の課題である。 以上のことから、進捗はおおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、上述したフェライトなどコイル以外の材質や配置についても検討し、車輪中継コイル(フェライト配置を含む)の材質・構造・形状の検討を終了させるとともに、研究計画通り、塩分や鉄粉を含む水中も想定した中継コイル式磁界結合方式の理論解析モデルの導出と環境異物の影響を低減する付帯機構(シールド機構など)の検討も進める。 また、計画書には明記していなかった人体や電子機器に影響がある漏洩電磁界の評価も、追加し、数値シミュレーションおよび給電実験時の計測を行い、給電電力を大きくした場合でも法令あるいは国際基準を順守できる形状についても検討する予定である。
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