研究課題/領域番号 |
23K03804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
益田 泰輔 名城大学, 理工学部, 教授 (40635794)
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研究分担者 |
山口 順之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (50371224)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 電力系統 / 再生可能エネルギー / 発電機起動停止計画 / 系統制約 / 電力市場 / 電力システム改革 |
研究開始時の研究の概要 |
電力系統は、需要と供給の同時性を実現するための需給制約と、送電容量・電圧・安定度といった系統制約を満たすよう運用する必要がある。再生可能エネルギーの大量導入が進む将来の電力系統では、電力の流れ(電力潮流)の複雑化による系統制約違反の発生が懸念され、既存の電力市場制度では対処できない可能性がある。そこで本研究では、需給制約だけでなく系統制約も考慮した新たな電力市場制度を設計し、市場制度を介して系統制約違反を未然防止または解消することができることを示す。
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研究実績の概要 |
最新の学術論文や報告書について調査するとともに,さらに我が国の需給調整市場の取引結果や容量市場の動向を確認し,「系統制約違反解消手法の提案・検証」および「市場を介した系統制約違反対策の提案・検証」について以下の通り研究を進めた。
「系統制約違反解消手法の提案・検証」については,将来の同時市場を想定した系統制約付発電機起動停止計画(Security Constrained Unit Commitment, SCUC)手法を開発し、SCUCで作成した需給計画の系統制約違反を確認し、さらに制約違反を解消する方法を検討した。SCUCは直流(DC)法で系統制約違反を考慮するため、交流(AC)法による最適潮流計算(Optimal Power Flow, OPF)で潮流解析を実施すると系統制約違反が発生する場合があることが分かった。その場合は運用条件を再設定して改めてSCUCによって需給計画を作成することで違反を解消できることを明らかにした。 「市場を介した系統制約違反対策の提案・検証」については,将来の同時市場を想定した需給計画において、提供する電力価値(電力量・需給調整力)の内訳を明らかにすることができる需給計画・運用シミュレーション手法を提案した。現行の市場制度における調整力の商品区分を考慮するとしてシミュレーションを実施し、手法の有効性を検証した。提案手法では系統制約を考慮していないが、系統制約を考慮した需給計画・需給運用シミュレーションを実施できるように改良することで、市場を介した違反対策について検討できる。
上記の内容について、査読付国際会議にて2件、国内学会にて11件の論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「系統制約違反解消手法の提案・検証」については、当初の計画では、需給計画プログラムによって需給計画シナリオを作成し、セキュリティチェックプログラムによって系統制約違反が発生する事例を抽出し、その後系統制約違反の分析と対策を検討することとしていた。計画で想定していた需給計画プログラムは系統制約を考慮しないものであったが、前述した通り、現在までに系統制約を考慮した需給計画作成手法を開発しており、当初の計画以上に進展している。
「市場を介した系統制約違反対策の提案・検証」については、当初の計画では2024年度上期から電力市場制度の枠組みの中で適用する方法を提案・検証するとしているが、現在までにこれを進めるための需給計画・運用シミュレーション手法が確立されており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに開発した系統制約を考慮した需給計画手法を用いて系統制約違反の事例を抽出し、我が国の現行の電力市場制度上での対応可否を分析して、需給調整市場における調整力調達や時間前市場での供給力調達等の一部として対策が可能な事例と不可能な事例に分類する。その後、可能な事例については現行の市場制度での具体的な対策方法を提案し、不可能な事例については現行の市場制度に適用できない原因を明らかにする。さらに、前述した需給計画・運用シミュレーション手法を改良して系統制約を考慮できるようにし、シミュレーションによって市場を介した対策の有効性を検証する。
なお、現行の電力市場および将来の制度検討の動向を注視するとともに、最新の研究論文・報告書等の文献調査から情報を収集して、適宜、研究の実施内容にフィードバックする。
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