研究課題/領域番号 |
23K03807
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
猪原 武士 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30634050)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パルスパワー / 放電プラズマ / 活性種 / ペストコントロール / ナノ秒 |
研究開始時の研究の概要 |
化学薬剤を用いない環境に優しいペストコントロール(害虫防除)技術の開発が世界的に求められている.ここで殺菌作用のある活性酸素窒素種(RONS)は「水」と「電気エネルギー(放電プラズマ)」さえあれば空気を原料に生成することができる.本研究の目的は,どこでも,使用したいその場で水溶液中にRONSを生成するシステムを開発し,これを害虫防除などのペストコントロール技術へ応用することである.本研究期間では,どこでも使えるRONS生成システムを開発し,水溶液中のRONSの量およびその種類を調べ,化学反応プロセスを検討し,RONSが寄生虫や害虫に与える効果の有効性について評価する.
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研究実績の概要 |
ケミカルフリーで環境に優しいペストコントロール技術を開発するために,1)オフグリッド型(バッテリーで動く)ナノ秒パルスパワー電源およびRONS製造システムの開発を行い,2)RONSが害虫に与える影響を明らかにすることでペストコントロール技術への応用の可能性を検証する. 本年度は,1)低損失で高速スイッチングが可能なSiC-MOSFETによるHブリッジ方式ナノ秒パルス電源を作製した.Hブリッジ方式を採用することにより両極性(正/負)で,かつ,電圧を昇圧する為に必要なパルストランスを必要としない.作製したパルス電源の出力は,最大電圧20 kV,パルス繰り返し数500 pps,立ち上がり時間は20 ns,パルス幅はマイコンによる制御が可能で最短500 nsである.また,バッテリーで駆動可能なオフグリッド型のRONS生成システムを開発するために,装置の選定および装置全体システムの検討を行った.2)空気を原料とした気液界面放電プラズマによって水溶液中で生成されるROSの一種である過酸化水素を指標として活性種の生成特性の評価を行った.過酸化水素の生成量についてはメチレンブルーを用いて定量測定を行った.印加パルス電圧の強度およびパルス繰り返し数の増加に伴い過酸化水素の生成量が増加することが確認された.また.本研究では屋外での使用を想定し,雨水などの有機物を含んだ水溶液中のRONSの定性測定を行い,過酸化水素やオゾンなどのRONSの生成を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,研究環境の構築および研究協力者との意見交換を行い体制を整えた.研究については,1)オフグリッド型ナノ秒パルスパワー電源およびRONS製造システムの開発を行い,2)RONSが害虫に与える影響を明らかにすることでペストコントロール技術への応用の可能性を検証することを目的とし,本年度は当初の計画通りに,ナノ秒パルス電源の作製およびRONS生成のシステムを検討することができた.また,空気を原料とするRONSの測定を行うことができた. 上記のように計画通りに研究が進んでおり,目的に即した結果および知見が得られていることから,「(2)おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究計画は,1)モバイルバッテリーを用いたナノ秒パルス電源およびRONS製造システムの完成を目指し,2)RONSが害虫に与える影響について定性的に調べる. モバイルバッテリーを用いたナノ秒パルス電源の入出力のエネルギーおよびバッテリーを消費電力を計測することで,その性能の特性を調べる.放電部についてはRONS生成の高効率化を図るために,電極構造の検討や印加パルス電圧条件の模索を引き続き行う.また,協力機関と連携を行いRONSの定量分析や水溶液に溶解している他の物質がRONS生成に与える影響について調べる.生成されたRONSを実際の害虫に照射し,その影響について定性的に調べる.
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