研究課題/領域番号 |
23K03824
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
大澤 直樹 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40454227)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 均一バリア放電 / 大気圧タウンゼント放電 / 誘電体バリア放電 / 表面電荷密度分布 / 時間分解観察 / 空気 / 放電観察 |
研究開始時の研究の概要 |
バリア放電は,癌細胞の死滅,皮膚疾患の治療,農作物の収率改善,鮮度維持など医療・農業分野にも応用されつつある。これらの分野では,患者の身体的負担や生体組織へのダメージを抑制する方法が切望される。本研究では,大気圧空気中でもストリーマ放電の発生しないマイルドな均一バリア放電の発生メカニズムを解明するために,既に開発したプログラマブルな高電圧電源と二次元表面電荷密度分布計測法を用いて,均一バリア放電発生中の誘電体表面電荷密度の時間変化,均一バリア放電を安定して発生させるのに必要な誘電体表面電荷量,ならびに,誘電体表面に蓄積された荷電粒子の脱離速度が均一バリア放電の発生に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,放電によって誘電体表面に蓄積される電荷の量・一様性・経時変化の観点から,大気圧空気中や酸素中での均一バリア放電の発生メカニズムを解明することである。研究代表者が独自に開発してきた半球棒電極とアルミナ被覆平板電極で構成される誘電体バリア放電装置では,交流高電圧を印加すると,アルミナ被覆平板電極が陽極のときにストリーマ放電が発生し,陰極のときに均一バリア放電の一種である大気圧タウンゼント放電(APTD : Atmospheric Pressure Townsend Dischargeの略)が発生する。 2023年度は,任意の位相で交流高電圧の印加を遮断できる電源システムと非接触式表面電位計で構成される二次元表面電荷密度分布時間分解計測法を高精度化し,正極性APTDや負極性ストリーマ放電が交互に発生しているときの誘電体表面電荷密度分布の位相特性を解明した。その結果,(1)垂直分解能12 bitのオシロスコープと有限インパルス応答フィルタを用いることによって,低いノイズで表面電荷密度分布が測定できるようになった。(2)APTDを発生できる誘電体材料では,正極性APTD発生中は,誘電体表面電荷密度分布が負から正に緩やかに変化し,負極性ストリーマ放電が発生するまでは正極性の帯電分布を維持していることや,負極性ストリーマ放電発生中は,誘電体表面電荷密度分布が正から負に急激に変化し,正極性APTDが発生するまでは負極性の帯電分布を維持していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに,二次元表面電荷密度分布時間分解計測法の高精度化ができ,各種放電発生中の誘電体表面の電荷密度分布の位相特性も取得できた。当初,導入した12 bitの垂直分解能を有するオシロスコープで取得した誘電体の表面電位分布は,高周波ノイズが含まれており良好ではなかった。表面電位分布の測定データに対して,有限インパルス応答フィルタを適用することにより,高周波ノイズの除去と高い波形再現性が両立できるようになり,各種放電発生中の誘電体表面の電荷密度分布の位相特性が取得できるようになった。それにより,APTDを発生できる誘電体では,正極性APTDの発生中は,誘電体表面電荷密度分布が負から正に緩やかに変化し,負極性ストリーマ放電が発生するまで正極性の帯電分布を維持することや,負極性ストリーマ放電の発生中は誘電体表面電荷密度分布が正から負に急激に変化し,正極性APTDが発生するまで負極性の帯電分布を維持することを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)2024年度は,APTD発生直前の表面電荷密度分布の制御方法を開発し,負極性の帯電量がAPTDの発生に及ぼす影響を明らかにする予定である。具体的には,電圧印加に休止時間を設け,負極性ストリーマ放電によって誘電体表面に形成された負極性の帯電分布を減衰させた状態で正極性の交流高電圧を印加したときのAPTDの発生の有無を調べる計画である。 (2)2023年度に得られた研究成果を静電気学会,電気学会,国際会議(18th International Symposium on High Pressure Low Temperature Plasma Chemistry,HAKONE XVIII)で発表する予定である。
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