研究課題/領域番号 |
23K03829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
綾野 秀樹 東京工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50614525)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 自立型電力変換装置 / 外部演算回路 / デッドタイムひずみ / 機械学習 / 自動調整 / 電力変換装置 / 自立型制御 / デッドタイム補償 / シングルボードコンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
省エネルギー化を推進するために電力変換装置が広く使用されている。その制御定数の設定は,現状では,設計者が予め設定して駆動させる場合が多く,駆動環境や経年的な状態の変化,使用部品の個体差に応じた設定は限定的にしか実施できていない。本研究では,電力変換装置に比較的安価なシングルボードコンピュータを使用してデータを計測・蓄積し,特徴量を抽出することにより最適な制御定数を自動的に演算・調整するシステムを実験的に実証する。特に,出力電流や負荷電圧をオシロスコープ並みの詳細な精度で計測し,そのデータを演算処理することにより,制御定数を自動的に調整できる自立型電力変換装置の実現性について解明する。
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研究実績の概要 |
電力変換装置は,持続可能な社会を実現する上で省エネルギー化に対する基盤技術であり,その適用分野は,数十Wクラスの電源から数MWクラスの重電機器まで幅広い。また,近年,機械学習が注目されており,膨大なデータを蓄積・活用し,様々なサービスに活かす動きが活発になってきている。一方で,電力変換装置における制御装置の定数の決定は,使用部品の特性や負荷の等価回路を基に設定するが,駆動特性をより向上させるために,設計者が機器を動作させる中で最終的な微調整を行う場合が多い。本研究では,電力変換装置に比較的安価なシングルボードコンピュータを接続し,出力電流や負荷電圧をオシロスコープ並みの詳細な精度で計測した上でデータを継続的に蓄積すること,および,そのデータを演算処理することにより,制御定数を自動的に調整できる自立型電力変換装置の実現性について解明する点が目標である。 上記の目的に対し,令和5年度は,比較的安価で高速演算が可能なRaspberry PiとA/D変換器を使用した外部演算回路を製作し,デッドタイムひずみの補償量を自動的に推定する方法を検討した。また,外部演算回路と通信可能な制御基板を新たに構築した。本評価では,デッドタイムそのものが影響する電流ひずみを評価するために,電流制御はせず,オープンループで駆動させた評価を実施した。ただし,負荷条件によらず評価を一般化させるために,全ての条件で電流波形の最小値と最大値が同一値となるように波形データの最小値と最大値が-1,1になるよう正規化し,予測の難易度を上げた評価を実施した。また,機械学習を用いた調整法として,3種類の方法を検討し,効果を比較した。次年度は,デッドタイムひずみの補償についての精度を上げるとともに,非接触給電等への外部演算装置の適用にも着手をしていく予定である。なお,本研究の検討段階で得られた結果は学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
外部演算回路を用いた制御パラメータの自動調整法と一環としてデッドタイムひずみの補償値の調整法を検討した。特に,機械学習を用いた調整法として,(i)画像分類モデルを使用した方法,(ii)波形特徴量ベースの線形回帰を用いた方法,(iii)電流波形の時系列データを用いた1次元CNNモデルを用いた方法の3種類を検討し,効果を比較した。本評価では,デッドタイム補償量の適正値を1に正規化して表す。さらに 0(補償なしの場合)から2(過補償の場合)までのデータを0.1毎に各200個収集し,機械学習用にそれぞれ各150個,合計3150個を使用した。また,残りの各50個,合計1050個を評価用に使用した。特に,方法(iii) の電流波形の時系列データを用いた1次元CNNモデルを用いた方法においては,現状の補償量は適切に予想できており,標準偏差±σは真値に対して±0.1未満の精度であった。この機械学習モデルを用いて補償量の高精度な推定が可能であり,1回の補償量調整でデッドタイム補償量を適正補償量付近まで調整できることを確認している。 以上より研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
機械学習によるデッドタイムひずみの補償量の調整について,電流制御等を加味しながらさらに高精度化を図っていく。さらに,令和5年度に構築した外部演算回路を改良し,評価対象をIPMモータシステムの電流ひずみ抑制非接触給電装置の高力率化等に適用する準備をしていく予定である。また,研究計画の遂行体制としては,1名の卒業研究生を研究協力者として充てる(研究代表者が卒業研究生の指導を実施する)。さらに,研究協力者として,福岡工業大学の松井義弘先生や日本大学の大前佑斗先生にアドバイスを頂きながら推進する予定である。 使用計画に基づいて,実験時に必要な消耗品を購入する。さらに,学会に参加し発表や関連研究の情報を収集する。このための参加費用の支出を予定している。
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