研究課題/領域番号 |
23K03838
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
上原 一浩 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (10221798)
|
研究分担者 |
冨里 繁 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (60362951)
田野 哲 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80378835)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 蓄積一括無線信号処理 / 信号分離 / IoT / 無線アクセス / サイドチャネル攻撃 / 通信妨害信号 |
研究開始時の研究の概要 |
IoTが本格普及すると、数百億個のIoT端末が世界中に偏在し、限られた周波数資源の中でセンサ端末等の低機能の無線端末が無秩序に通信し、衝突や干渉により従来の受信機ではデータが受信出来なくなり、時に人々の安心安全をも脅かすという課題がある。本研究では、広帯域受信スペクトルを一旦クラウドに蓄積し、過去・現在・未来のデータを用いて一括信号処理することにより、従来の受信機では実現できない、衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離・復調技術の確立を目指す。更に、本技術を応用し、ジャミング等による通信妨害、及びサイドチャネル攻撃(SCA)の脅威に対する対策技術の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
身の回りの殆どのデバイスに無線機能が搭載され、5Gも実用化され、IoTの普及が急速に進んでいる。しかし数百億個のIoT端末が世界中に偏在し、限られた周波数資源の中でセンサ端末等の低機能の無線端末が無秩序に通信すると、衝突や干渉により従来の受信機ではデータが受信出来なくなり、時に人々の安心安全をも脅かすという課題がある。加えてジャミング等により悪意を持って通信を妨害する攻撃の懸念もある。更に、端末の暗号モジュールの漏洩電磁波等から秘密情報を盗聴するサイドチャネル攻撃(Side Channel Attack: SCA)の脅威も高まっている。本研究では、広帯域受信スペクトルを一旦クラウドに蓄積し、過去・現在・未来のデータを用いて一括信号処理する新技術により、従来の受信機では実現できない、重なった無線信号の分離・復調を可能とする技術を確立・高度化すると共に、上記課題の解決に向けた応用を目指す。本分野の永遠の課題である抜本的な周波数有効利用実現の可能性を秘めた本技術の確立により、今後のIoTの更なる普及に対応可能な次世代の無線通信インフラの実現に貢献していく。 本年度は、主に、サイドチャネル攻撃の脅威に対する対策技術の確立と、実証実験プラットフォームの構築に取り組んだ。先ず、暗号モジュールの漏洩電磁波と信号の特性が近いASK無線通信信号に対して、蓄積一括信号処理を用いて信号分離・復調を行った場合の、窓関数等の様々な条件における基本性能を定量的に評価し明らかにした。次に、暗号モジュールから漏洩する秘密鍵情報を含む電磁波をモデル化したシミュレーションを行い、秘密鍵の識別が可能であることを示した。更に、実証実験プラットフォームを構築し、実際に測定した暗号モジュールの漏洩電磁波から秘密鍵を特定し、これらの結果をまとめて学会発表し、論文投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初計画に従い、サイドチャネル攻撃の脅威に対する対策技術の確立と、実証実験プラットフォームの構築に取り組み、研究目的の達成を目指した。 先ず、暗号モジュールの漏洩電磁波と信号の特性が近いASK無線通信信号に対して、蓄積一括信号処理を用いて信号分離・復調を行った場合の、窓関数等の様々な条件における基本性能を定量的に評価し明らかにした。次に、暗号モジュールから漏洩する秘密鍵情報を含む電磁波をモデル化したシミュレーションを行い、秘密鍵の識別が可能であることを示した。更に、実証実験プラットフォームを構築し、実際に測定した暗号モジュールの漏洩電磁波から秘密鍵を特定し、これらの結果をまとめて学会発表し、論文投稿した。 また、通信妨害に対する対策技術の確立についても検討を進め、通信妨害信号の一例として電子レンジの放射電磁波をモデル化し、蓄積一括信号処理を用いて信号分離・復調を行った場合の基本性能を計算機シミュレーションにより評価した。電波妨害信号とQPSK無線通信信号が干渉している場合でも、本手法が有効であることを確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の研究実施計画に沿って研究を推進していく。サイドチャネル攻撃の脅威に対する対策技術の確立については、特徴量復調法の雑音に強い特長を活かし、秘密鍵の漏洩信号が大きな熱雑音や別の漏洩雑音信号に埋もれた状況での攻撃精度の向上の検討を進める。通信妨害に対する対策技術の確立については、各種変調方式における信号分離・復調性能の評価と、実測による計算結果の検証を行い、更に電子レンジの放射電磁波以外の電波妨害信号に対する検討を進める。並行して、実伝搬路、実際の送受信機特性を考慮した信号分離・復調技術の確立、及びマルチキャリア信号に対応可能な分離・復調技術の確立に取り組み、引き続き得られた研究成果の外部発表を精力的に行っていく。
|