研究課題/領域番号 |
23K03840
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
豊田 一彦 佐賀大学, その他部局等, 理事 (80612663)
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研究分担者 |
田中 高行 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60207107)
西山 英輔 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30295026)
HASAN MAODUDUL 佐賀大学, 理工学部, 助教 (00962755)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アクティブアンテナ / ワイヤレス / 周波数変換 / 次世代無線システム / ダウンコンバータ / イメージ抑圧 / 次世代ワイヤレス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,次世代の無線通信システムで活用が見込まれる送受信機一体型アクティブアンテナを実現するための基本技術に関するものである.従来の無線機は,アンテナと高周波回路がそれぞれ独立に設計されており,個々に最適化されてきた.このため,アンテナと高周波回路の相互作用による利点を活用することができていなかった.本研究では,アンテナと高周波回路を一体複合化することにより,これまでの構成では実現することの難しかった高機能アンテナを実現し,次世代無線通信の研究開発に資する.
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研究実績の概要 |
本研究は,次世代の無線通信システムで活用が見込まれる送受信機一体型アクティブアンテナを実現するための基本技術に関するものである.従来の無線機では,アンテナと高周波回路がそれぞれ独立に設計され,個別に最適化されてきた.このため,アンテナと高周波回路の相互作用による利点を活用することができていなかった.本研究では,アンテナと高周波回路を一体複合化することにより,これまでの構成では実現することの難しかった高機能アンテナを実現し,次世代無線通信の研究開発に資することを目的としている. 本年度は,主にイメージ抑圧型ミキサを一体化したダウンコンバージョン機能を内蔵したアクティブアンテナについて検討した.このアンテナでは,直交2給電マイクロストリップアンテナが円偏波信号を受信した際に90度の位相差を持つ2つの信号を出力するという性質を活用することにより,従来のイメージ抑圧型ミキサで必須のRF周波数帯の90度合成分配回路が不要となる.これにより,無線装置の小型化に貢献し,大小様々な機器に無線機能が搭載されるIoT社会やフィジカル空間とサイバー空間がワイヤレスでつながったSociety5.0の実現に大きく貢献する. これまで,シミュレーションによりその振る舞いを詳細に検討するとともに構成法を決定し,試作アンテナにより特性を確認した.これにより提案コンセプトの実現性を確認することができ,その結果を国内学会1件および査読付き国際会議1件で発表した. また,差動給電アンテナを用いたバランス型アップコンバータ内蔵型アクティブアンテナについて基礎的な検討を行い,国内学会2件で発表した. さらに,本研究に付随する技術として,これまで検討してきた偏波切替やビーム切替機能を有するアクティブアンテナについて,学術論文2編を出版し,国内学会2件で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りイメージ抑圧機能を内蔵したダウンコンバージョン型アクティブアンテナについて,シミュレーションおよび試作アンテナによる検証を行った.イメージ抑圧比やアンテナ利得の周波数特性などについて詳細にデータを取得した.提案構成によるイメージ抑圧の効果を確認し,提案コンセプトの実現性について検証した.この結果は,研究会1件,査読付き国際会議1件で報告している.この国際会議発表に関しては,IEEE福岡支部より学生研究奨励賞を受賞した.本構成では,希望波もイメージ波もともに円偏波であることを前提としているが,イメージ波が円偏波からずれた場合の特性などについて詳細に詰めていく必要がある. また,2年目の目標である,局部発振信号抑圧機能を内蔵したアップコンバージョン型アクティブアンテナについても基礎的な検討を始めており,逆相給電マイクロストリップアンテナや単位ミキサの特性についてシミュレーションによる検討を行い,次年度の研究実施に向けた準備を行った.この基本検討の結果は,国内学会2件で発表している. さらに,本研究を一層発展させる研究として,偏波及び指向性切り替え機能を内蔵したリコンフィギャラブルアンテナについても検討し,国内学会2件で報告し,学術論文2編を出版した.これらの技術は,周波数変換機能と一体化することによってさらに多彩な機能を内蔵したアクティブアンテナの実現に資するものである. 以上により,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,1年目にイメージ抑圧機能を内蔵したダウンコンバージョン型アクティブアンテナ,2年目に局部発振信号抑圧機能を内蔵したアップコンバージョン型アクティブアンテナ,3年目に局部発振機能と増幅機能と周波数変換機能を一体化したアクティブアンテナの検討を予定している. 本年度は,これらの3つの構成のうち,イメージ抑圧機能を内蔵したダウンコンバージョン型アクティブアンテナについてシミュレーションおよび試作アンテナによる特性検証を行った.概ね期待通りの結果が得られており,イメージ波の偏波が異なった場合の特性など一部詳細なデータを取得することが残されているが,提案コンセプトを実証することができた. 今後は,上記の2番目,3番目の構成について順次検討を進めていく.来年度は,局部発振信号抑圧機能を内蔵したアップコンバージョン型アクティブアンテナについて主に取り組む予定である.シミュレーションによって,アンテナや単位ミキサ,IF帯のハイブリッドなど各構成要素を設計し,試作回路・試作アンテナの測定によって各構成要素の特性を明らかにするとともに.これらを一体複合化した時の特性や性能を取得する予定である. また,3年目を見越して増幅器や発振器およびこれらの一体複合化を目指した構成法の検討を始める予定である.
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