研究課題/領域番号 |
23K03868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
孫 勇 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60274560)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 核磁気共鳴 / 容量型アンテナ / 小型装置 / 自動計測 / 電磁ノイズ |
研究開始時の研究の概要 |
弱磁場核磁気共鳴の測定は困難であり、送受信コイルでは高周波帯域でのインピーダンス増加に伴う電波の減衰や、立体構造による電磁ノイズの混入などが原因となっている。超電導コイルを使用することで、電波の減衰は改善されるが、ノイズの防止対策の見込みは立っていない。本研究では、平面構造の容量型電波送受信素子を開発し、電波減衰とノイズ問題の同時解決を目指す。その為に、新たな測定理論を基に容量型アンテナ構造を提案し、その実現の技術的な問題を検証し、アンテナデバイスの試作を通じてその有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
最初年度の研究は順調に進み次のような結果が得られている。 ①試料の測定について 水素同位体1H試料作製を試みた。水素プラズマとシリコン結晶との反応を利用し、単結晶シリコン基板上に1H試料を作製してみた。水素ガスについて、1H原子が多く含まれるものを購入し、スパッタリングガスとして利用した。基板温度やガス圧などの作製条件を調整し、厚さ2マイクロメートル程度の微粒子SiHxの薄膜を準備した。また、強磁性体試料La2CuO4を購入し、酸素のナイトシフト等の効果を確認した。また、超伝導体試料DyBCOとYBCO等の既存超伝導材料を用い、スピン一重項、スピン三重項、核スピンー格子緩和などの測定を通じて、本開発装置の性能を確認する予定である。 ②データ収集と処理の自動化について 自動計測では、パソコンによる温度や電源信号及びオシロスコープの制御を通じて必要とするデータの収集を実現し、エクセル方式で保存した。しかし、データの量が膨大で手作業では無理があった。これらのデータを必要なパラメーターの関数として処理する必要がある。 ③容量型アンテナの作製 平面型容量アンテナの作製は終了している。基板はLiNbO3結晶で、電極とアンテナは金属のアルミ薄膜で作製されている。アンテナは、長さの異なる容量電極がマイクロメートルの間隔で並んでいる。また、櫛状電極にリード電線を引いた。櫛状電極に交流信号を印加すれば、基板の圧電体の効果で弾性表面波が励起され、アンテナに近づくと電波に変換される。測定試料をアンテナの表面付近に設置すれば、アンテナから放射した電波に照射され、試料の電波吸収を励起する。試料の電波吸収を経てアンテナを通過した弾性表面波は、もう一方の櫛状電極によって電気信号に変換され検出された。これによって電波吸収の定量化を実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度には国際特許1件の出願と数件の発表があった。令和6年度には、データの蓄積もあり、雑誌発表論文や国際会議での発表を増やしたいと考えている。また、知的財産権の確保のために特許の出願も引き続き努める。更に、各種展示会と集会や新聞発表等にも積極的に参加・アピールしたいと考えている。国際会議や国際交流などにも計画している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の研究では具体的な実行計画は次のように立てている。 主要計画内容は容量型アンテナの特性評価にある。 LiNbO3結晶基板上にアルミニウム金属アンテナを作製したが、アンテナの形状等について、測定の要求に応じて既存のCADプログラムを用い設計のベスト条件を見つける。アンテナパターンの形成は微細加工技術で行う。令和6年度には、このアンテナの電波発射特性を確認し、性能の改善を図る。アンテナの性能指数として次のような評価点が考えられる。①発射電波の周波数範囲である。電波周波数はアンテナの長さで決まるが、今回作成した長さは2mm~10mmの範囲内にあり、対応電波周波数は1.0 GHz~5.8 GHzの範囲にある。②アンテナは、空気/LiNbO3界面に作製されているので2種類波長の電波が発射される可能性があり、これについて確認する。③電波発射の距離分布の同定である。直流の場合には遠距離への電波の発射が無視できる。MHz以上になると空気中に放射されると言われている。従って、MHz以下の周波数を持つものは、界面付近に分布する交流電界などの局在波になる可能性があり、NMR測定に与える影響について調べる必要がある。
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