研究課題/領域番号 |
23K03876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高田 明雄 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 教授 (40206751)
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研究分担者 |
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (50334694)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 人工ニューロン / 積分発火回路 / ノイズ誘起同期 / 不感帯 / 発振器の結合 / 無線センサネットワーク / 省電力 / 情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の防災や環境モニタリング等における無線ネットワークシステムでは,センシングデータの伝達に関係のないセンサ部でも電力を消費し続けるため消費電力に無駄が多い.それはデバイス間で同期をとる電子制御にクロック信号を使っているからである.そこで,本研究では『生物の神経回路網(ニューラルネットワーク)で行われている省エネルギーで,なおかつ優れた情報の同期・伝達の仕組み』を取り入れるために神経細胞(ニューロン)でみられるスパイク発火による情報伝達のメカニズムを電子制御の要素に対応させる.そして,最終的に人工ニューラルネットワーク内で効率よく信号を伝達する技術を開発する.
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研究実績の概要 |
ニューロン間で授受される信号はインパルス(時間幅の狭い電気パルス)であることから,R5年度はニューロンの簡単なモデルとして知られている積分発火型回路のノイズ誘起同時発火現象について調べた.従来の研究では,回路パラメータにミスマッチのある二つの積分発火型回路に印加したノイズは,回路内でトリガパルスに変換される.このトリガパルスの発生タイミングは回路の発火誘発頻度に影響を与えるため,ノイズのサンプリングしきい値を変化させることでそれを調節できる.この場合については,ニューロンの不応期(発火直後から一定時間発火しない時間帯)に相当する不感帯を回路に組込むことが有効であり,さらには二つの回路間における不感帯の時間幅のミスマッチを低減されることが同時発火のさらなる促進に有効であることも明らかにした. 一方では,この方式の延長線上にない『ノイズ誘起同時発火特性』についても調べた.すなわち,発火しきい値にノイズを混入させるというノイジーなしきい値モデルの回路実験である.その結果,適度な印加ノイズレベルの範囲においては,完全にではないが,同時に近い発火が二つの積分発火回路間で頻繁に生じることが確認された.この原因としては,ノイズ印加により,確率的かつ瞬間的に回路の発火しきい値が下げられたことによるものといえるが,その理論的な裏付けは今後の課題となる. また,発振回路を結合したモデルは神経細胞間の信号伝達システムと類似性があることに着目し,回路の発振特性を連続的な電圧変化によるものではなく,区分的に直線となる回路(区分定数発振回路)を使った発振回路の結合実験の準備も進めた.回路の力学系(設計したパラメータ)と市販部品を使った回路で得られたパラメータとのズレが回路発振周波数に及ぼす影響について明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,R5年度はこれまでニューロンの様々な性質の中で,まだ回路に落とし込まれたことのないものを回路に組込みその動作を検証する予定であったが,先に,これまで知られている積分発火回路のノイズ環境による同時発火現象を深く掘り下げる方を優先させた.そういう点では,研究を先取りしているといえる.しかしながら,その結果,当初の予定から遅れることとなった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画に沿って,ニューロンの特徴を具備した回路の設計・製作および動作検証,さらには,グラフィカルインターフェースを有した数値解析ソフトを用いた,理論的なモデル実験も取り入れて,実験結果の妥当性を付帯・検証させたいと考えている.
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