研究課題/領域番号 |
23K03882
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
馬場 昭好 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 教授 (80304872)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 半導体センサー / 海中センサー / 電気化学反応 / 液中 / pH |
研究開始時の研究の概要 |
海水中のpH計測と海水中イオンのゲート絶縁膜への浸潤によるFET特性の変動に焦点を絞り、pHならびにイオン濃度を同時に長期間安定に測定するFET型センサーの開発をおこなう。これを実現するためには、(1)CMOS作製技術と親和性の高い材料・手法により基板ならびに配線との電気化学反応を抑制する材料、デバイス構造およびこれらのインテグレーション技術の確立が必須となる。さらに、イオン検知部であるゲート絶縁膜に浸潤したイオンによるFET特性変動により、浸潤物質の特定ならびに測定pHの補正を同時に行うことが可能な手法を提案する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は昨年度試作した液中イオンセンサーの評価を実施した。結果、海水中での特性にはヒステリシス現象が生じるものの、素子間でのばらつきが大きいこと、基板表面(シリコン基板)と海水との電気化学反応で生じる電流が測定信号に重畳されS/N比および感度を大きく低下させることが分かった。 海中という極限環境での使用を目的としているため測定用プリント基板にチップを搭載しチップ全体を液中に浸漬してんの測定が必須となる。このためチップ表面の金属配線部のみならずチップ側面および裏面を含むチップ表面での電気化学反応を抑制が必須となる。チップ表面の電気配線の保護には半導体プロセスで使用可能なエポキシ系材料を用い、センサー部以外のシリコン基板からの電気化学反応電流の流入を抑制するためSOI基板を用いる新たなセンサーの設計および作製プロセスの構築を行った。SOI基板を用いた素子にすることで、センサー部のみが半導体となりその周囲は絶縁体で覆われることで基板で発生した電気化学反応電流の流入を抑制する試みである。 また、チップ側面での電気化学反応抑制には、チップのプリント基板への固定および電気化学反応抑制のためエポキシ系接着剤を使用するが、接着剤の粘性の影響で接着時のチップ側面段差の被覆が課題となる。チップ表面のセンサー部を露出させ、かつ、チップ側面およびチップ上のプリント基板への配線部は被覆しなければならないため3Dプリンターによる被覆ジグの設計を行った。被覆ジグを用いることで粘性のある接着剤が拡がらず狙った場所を保護が可能となる。また、チップ段差を最小化しチップ端部における保護膜の薄化(粘性液体の表面張力の影響)を避けるためチップ厚さに相当する窪みのあるプリント基板の設計も実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海中という極限環境での使用に耐えれるセンサーの開発が目的であり、かつ、微量のイオンの濃度をヒステリシス現象で計測するため、センサーチップの表面の金属配線の保護だけでなく、裏面および側面に対しても電気化学反応を抑制する構造が必要であり、さらに、電気化学反応電流が基板に流入したとしても計測に関わる電流に重畳されないような素子構造が必要である。これらの観点で素子構造の最適化および表面保護技術の確立を進めた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度実施した電気化学反応抑制設計(表面電気配線の保護、SOI基板による信号に町長される電気化学反応電流の抑制、プリント基板接着時における基板側面の保護)に基づき素子を作製し、これらの効果を検証する。 検証結果に基づき、さらなる電気化学反応抑制手法の検討を実施する、もしくは、イオン濃度を変化させた溶液中での測定を行い、ヒステリシス現象を用いイオン濃度の検出方法を探ることを行う。
|