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光で音を測定する光波マイクロホンの高性能化と高機能化

研究課題

研究課題/領域番号 23K03888
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分21030:計測工学関連
研究機関東海大学

研究代表者

佐松 崇史  東海大学, 文理融合学部, 教授 (60299667)

研究分担者 藤本 邦昭  東海大学, 文理融合学部, 教授 (60229044)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワードマイクロホン / レーザ / 光回折 / 音計測 / センサ / 可聴音 / 超音波 / 多素子センサ / イメージセンサ / SN比改善
研究開始時の研究の概要

申請者等は、これまで振動膜などの物体を一切使わず、光で音を直接検出する方法もしくは光の中から音情報を取り出す方法(総称:光波マイクロホン)の開発研究を進めている。本研究では、音により生じる回折信号光の光処理部と光検出部を最適化する条件を明らかにすると共に、それに基づき特化した専用イメージセンサと独自のウェーブレット信号処理手法を組み合わせた光信号処理技術を開発し、高性能化を行うこと、さらに、単一の光波マイクロホンによる音の侵入方向決定や侵入方向毎の音の分離測定、音源分離などの実行可能性を理論及び実験の両面から明らかにすると共に、それらの性能を具備した革新的な高機能音計測技術の実現を図る。

研究実績の概要

振動膜を用いず、レーザにより直接検出する光波マイクロホンの性能向上と機能向上を目指し、多素子での計測および信号処理手法の確立およびチップの製作を今年度の研究の目的とした。得られた結果を要約すると次のとおりになる。
(1)測定光学系最適条件及び測定限界の理論的検討のために、まずは2分割フォトダイオード用い、2つの回折光の変動分を同時に測定することで、装置や信号処理の有効性を確認した。反射部にリトロリフレクタを用いた光波マイクロホンにおいて、25kHzの単音を入力とした場合の計測を行い、受講部が単体のフォトダイオードの場合と同等の性能であることを確認した。音が印加されたレーザ内には2つの回折光が出現するが、音信号の位相が反転していることが確認されている。2分割フォトダイオードで観測された2つの信号の差分を取ることで、音信号の強度が2倍となりまた同相のノイズ成分が打ち消されることで12dB程度SN比が改善した。また独立成分分析を行った結果、同様に12dB程度、SN比を改善できた。
(2)4分割フォトダイオードを採用し、装置の有効性の検証と、観測された4つの信号からSN比改善を目指した信号処理法の確立を行なった。それぞれの回折像がそれぞれ2つの受光部に当たることになり、同相が2系統、逆層が2系統観測できる。逆層同士の信号からまずは信号強度の増大と同相ノイズの低減を行い、その合成信号のさらなる合成や独立成分分析により、20dB程度のSN比改善が実現できた。その原理について検証を進めている。
(3)受光部の回路設計を行った。光波マイクロホンは回折光の信号強度が音信号であるが、搬送波がレーザとなるため、信号成分は相対的に微弱である。搬送波のレーザ成分を除去する回路も組み込んでいる。またチップも設計し発注を行なった。制作に4ヶ月かかる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

光波マイクロホンの高性能化と高機能化をテーマに研究を行っているが、今年度は特に高性能化に照準を絞り、下記の3つのテーマについて取り組んでいる。それぞれの自己点検による評価は下記のとおりである。
(1)測定光学系最適条件及び測定限界の理論的検討について、当初の計画通りである。音入射部(レーザビーム伝送等)、光信号処理部(フーリエ変換複合レンズ配置法)、光検出部(光回折像と受光素子の整合等)の最適条件及び音測定限界をそれぞれ理論的に明らかにでき、2分割および4分割フォトダイオードによる計測ができた。
(2)情報処理法によるSN比改善の基礎的研究について、当初の計画よりやや遅れている。2つのチャネルの差動測定法や独立成分分析、および両者の組み合わせで20dB程度のSN比改善を達成するなど良好であったが、当初予定していたウェーブレット理論を応用した独自のアルゴリズムでは有効な結果が得られなかった。
(3)光回折像空間分布をイメージセンサで測定する場合、光波マイクロホンに特化したイメージセンサと信号処理方式の開発が必要である。多素子センサ(駆動・信号処理回路を含む)の試作と評価について、当初の計画よりやや遅れている。設計したICの試作品完成に4ヶ月かかってしまうため、現在納品待ちの状態である。またイメージセンサの場合、ICの設計段階における感度などの各種パラメータ設定が通常の半導体と比べて難しいこともあり、当初初年度計画では素子数を36と想定していたが、まずは条件出しと成功確率を上げるために12素子とした。またICの出力を時分割で取り出す回路は未実装であり、今後素子数を増やした設計では多チャンネル対応部分の回路もICに組み込む必要がある。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策について、まずは測定限界の確認や実用化のための検証実験として長距離ビームでの計測を追加する。次に前年度に未達成であった2チャネルや4チャネルの信号処理における独自手法の理論的確立および実用化を目指す。また多素子センサの試作と評価に関するテーマとして現在発注しているICの動作検証を行う。今後設計・製作するイメージセンサの画素数の増大とともに、多チャンネルの同時取り込みを行う必要があり、
時分割で取り出す回路の実装を行う。さらなる研究推進のため、光波マイクロホンの観測面を撮影しその映像の取り込み経験のある研究者を、新たに共同研究者として追加予定である。
詳細については下記のとおり当初の計画に準じて進めていく。
(1)多素子センサに特化した信号処理によるSN比改善を行う。4素子で20dB程度のSN比改善を実現しているが回折光の受光素子が増えることでさらなるSN比が見込まれる。既存の信号処理手法の組み合わせによるアプローチとウェーブレット理論を応用した独自のアルゴリズムによるアプローチの両方から多チャンネルの処理法を確立する。
(2)集積回路製作技術を利用した多チャンネルイメージセンサの試作、評価結果を参考にして、多チャンネルイメージセンサを試作する。すでに設計し発注したICの素子数は12であるが、最終段階では100素子以上のICを試作する予定である。また集積回路の設計製作に精通した研究分担者の下で製作しに準じた性能試験、改造を実施する。試作したイメージセンサを用いて光回折像の空間分布計測を実施し基本技術の確立を図る。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Improvement of Signal to Noise Ratio of an Optical Wave Microphone with Retro-reflector using Blind Source Separation2023

    • 著者名/発表者名
      Seiryu Ueda, Takashi Samatsu and Yoshito Sonoda
    • 学会等名
      17th International Conference on Innovative Computing, Information and Control
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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