研究課題/領域番号 |
23K03899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 一宏 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (00751869)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 可制御性スコア / 中心性 / ネットワークシステム / 最適化 / 大規模ネットワーク / 機械学習 / 制御 |
研究開始時の研究の概要 |
可制御性の観点から大規模複雑ネットワークシステムのどのエージェントを制御すべきかという問題の研究が進められており,申請者らはこの問題に関して可制御性スコアという概念を提案している.本研究の目的は,可制御性スコアを,ネットワークの構造と枝の重みが未知な状況で,エージェントから得られるデータだけを用いて計算する方法を構築することである.この目的を達成するために,最適化問題の目的関数の勾配をデータから推定する方法を機械学習の方法を参考に構築し,データ駆動型アルゴリズムを提案する.さらに,大規模なシステムに対しても適用可能なものにするためにモデル低次元化の知見も取り入れ,提案法の有効性を検討する.
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研究実績の概要 |
大規模ネットワークシステムを解析・制御する際には,どのノードが重要かを表す中心性の概念が役立つ.中心性はこれまで様々な観点から多数提案されているが,ネットワークシステムが外部入力の影響を受ける場合には入力の影響を考慮した中心性の利用が望ましい.また,対象とするネットワークシステムのグラフの構造と枝の重みを知ることも容易ではない.これらを念頭に,本研究は大規模ネットワークシステムのグラフの構造と枝の重みが未知な状況でシステムの状態ノードから得られるデータだけを用いて各状態ノードの中心性を可制御性の観点から与えることを目的としている.
これに対し,本年度の成果は以下の通りであり,(1), (2)の成果は共にIEEE Transactions on Automatic Controlというシステム制御分野のトップジャーナルに採択された. (1) 可制御性スコアという新たな中心性の概念を考案した.この可制御性スコアは凸最適化問題の一意解として定義される.本研究では,可制御性スコアを計算する射影勾配法に基づいた効率的なアルゴリズムも提案した.数値実験では,人工的な階層的なネットワークシステムに対して可制御性スコアは既存の中心性よりも可制御性の観点から自然な中心性であることを示した. (2) 事前知識としてシステムパラメータの一部が既知である安定システムのパラメータ行列をリーマン多様体上の最適化法を用いて観測データだけから同定する方法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的を達成するための基盤技術の開発が順調に進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
我々が提案した可制御性スコアの概念を以下のように理論面と応用面から発展させる. 【理論面】可制御性スコアは現状では線形時不変なネットワークシステムに対して適用可能な概念である.ハイブリッドシステムやテンポラルネットワークシステム,さらには偏微分方程式系で記述される物理システムに対して適用可能なように可制御性スコアの概念を拡張することを検討する. 【応用面】可制御性スコアの概念の有用性を実データを用いて検討する.
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