研究課題/領域番号 |
23K03921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
石川 良 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90708778)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | テクスチャー / 光閉じ込め / ポリエレクトライト / 静電相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
有機・無機ハイブリッドペロブスカイト層を使用したペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率を示す。凹凸基板を使用すると光を効率的に吸収することができるが、均一なキャリア輸送層の形成が難しい問題がある。そこで、ポリエレクトロライトとナノ・コロイド粒子を使用して低温・高速でキャリア輸送層を形成する方法を開発する。
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研究実績の概要 |
有機・無機ハイブリットペロブスカイト(ABX3)層を光吸収層とするペロブスカイト太陽電池(PSC)は多結晶シリコン太陽電池やCIGSやCdTeなどの化合物太陽電池と同等以上の光電変換効率が報告されている。短絡電流密度(JSC)向上には光閉じ込め効果のある凹凸基板の利用が効率的であるが、凹凸基板上へ均一なキャリア輸送層を低温・短時間で形成するのは困難である。 PFNはメタノール:酢酸混合溶媒にポリエレクトライトを形成して可溶するが、PFN濃度を変数として凹凸のあるテクスチャフッ素ドープ酸化スズ(FTO)上に塗布するとPFN濃度上昇に従い接触角が増加して、凹凸基板上に疎水性のPFNが均一に塗布されていることを示唆しており、此の事は顕微ラマンからも裏付けられた。Alfa Aesar社製直径数 nmの負に帯電している事が報告されているSnO2コロイド粒子を塗布したところ、PFN無しでは凸部に多くの未被覆領域が見られるのに対して、PFNの濃度が向上するに従い凸部にSnO2が成膜されるようになり、静電相互作用の影響と考えられる。ガラス/電子輸送層/ペロブスカイト/ Spiro-OMeTAD/銀構造の順型ペロブスカイト太陽電池を作成し、比較的平坦なFTO上にSnO2を塗布したものではJSCは凹凸FTOに比べて低いものの、高い開放電圧と曲線因子を示した光電変換効率(PCE)として18%を示した。これに対した凹凸FTO上でSnO2を直接成膜したものは、高いJSCを示したものの、それ以外が低くPCEは16.5%に留まった。凹凸FTO上で最適濃度のPFN導入により全ての性能因子が向上してPCEは20.5%へと大幅に向上した。これは、SnO2被覆率向上と共に、PFNによる仕事関数低減により直列抵抗が減少したことが要因として考えられる。以上の成果を、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レンタルスペースの実験室からの装置の移設と、面積縮小に伴う既存の実験室の整理・再整備が必要となり、また当社使用予定であったコロイドSnO2水溶液や旭硝子製テクスチャFTOどちらも製造・販売中止となり、在庫のみでの実験計画の立案と、代替品の選定に時間を要したので。 FTOは別会社の同等品を入手する目処がつき、国産のSnO2ナノ粒子水溶液をPFN事前塗布したテクスチャFTOに同様に塗布したところ、国産のSnO2ナノ粒子水溶液でも凹凸FTOに均一塗布できていることが確認できた。 実験室の再整備により実験室間の移動が大幅に減り効率的に実験を行うことが可能となったので、遅れの解消に務める。
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今後の研究の推進方策 |
PFNのカウンターアニオンやPFN以外のポリエレクトライトを成膜し、またSnO2コロイド粒子に添加剤を加えてゼータ電位を測定し、このゼータ電位を変化させたSnO2コロイドを成膜して静電相互作用の強さや、膜形態との関連を明らかにして、凹凸基板上への均一電子輸送層形成の要因を見出す。 国産のSnO2ナノ粒子水溶液への添加剤の添加や表面処理により開放電圧の改善とPCEの向上を図る。
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